第3話 悲劇の始まり


「そういえば、最近雨が降りませんね…。」

「そうですね…。」

 丁と莉奈が二人で長の家の掃除をしていたとき、丁はふと思いついたことを口にしていた。

「莉奈さんは大丈夫ですか?」

 莉奈は天気にかかわることだけでなく村の治安やその他村にかかわる厄災を払ってくれると村では信じられていた。

「…、村の人からいろいろ言われたりはするけどそこまでないから大丈夫ですよ。」

「…、莉奈さん。」

 丁は不意に莉奈に話しかけていた。

「なんですか?」

「私はあなたに危害を加えたものがいたら必ずそのものからあなたを守ります。」

 丁は心に決めた。何があっても彼女を守ると。たとえ自分を犠牲にしたとしても…。

「絶対、ですよ?」

 莉奈は目を丸くしながらも丁に微笑みながら言った。

「はい。絶対です。」

 周りから見るとただの口約束にしか見えないが二人にとって大きな約束を交わした。


「さぁ、早く掃除を終わらせましょう。」

「後何が残っているんですか?」

「後は、洗濯と、食器洗い、芝刈り…、ですね。」

「…、多いな…。あのハゲじじいめ。今日のお祈りサボってやろう。」

「…、私は知りませんからね。」

 丁はそっけなく返した。

「いいじゃないですか。丁に仕事を押し付けすぎなんです。それに、少しも運動しないから太るんですよ。あのデブ。」

「…、確かにそうですね。」

 莉奈の意見は思わず突っ込みを入れたくなるが当たってはいたので肯定する。

「さぁ、他の仕事も早く終わらせて遊びに行きましょうね。丁。」

「そうですね。」

 丁と莉奈は早く終わらせて遊ぶことしか考えていなかった。その頃、村の人間が集まって何を話しているのか全く考えてもいなかった。

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