第6話 生まれ変わる


 こんなところに子どもが死んでいるよ。

 かわいそうに…。まだこんなに小さいのに…。

 みんなで身体に入れば、鬼になれるかな?

 そうだ、この体の中に入ろう。



 丁は目を覚ます直前年齢、性別の違う様々な声を聴いていた。その声がやむと丁はゆっくりと目を開け、体を起こした。


「莉奈、さん…。迎えに行かないと…。」


 丁は暗い祠から出るため重い扉を開けた。


 それから莉奈を探すために森の中を走った。だが、村は遠く、なかなか一向に着かない。森の中を彷徨っていると突然右隣から子供の声がした。


「あれ、鬼がいる。」


 声のした方を見ると丁より一回り小さい子供が立っていた。


「鬼は黄泉にいかないといけないんだよ。」

「ですが、私は莉奈さんを…。」


 丁は事の経緯を子供に話していた。すると子供は


「それがね、死んでいない人は黄泉へ連れて行っちゃいけないの。」


「え?」


「黄泉と現世は違う世界なの。だから死んでいない人間は連れて行っちゃいけないの。」

「そう…、なんですか…。」


「ごめんね、丁くん。その代り、黄泉につれて行ってあげるよ。」

「黄泉に?」

「うん。さあ、行こう。」

 丁はその子供、木霊についていき、名残惜しくもその足を黄泉へと向けた。











 丁の死から数年がたち、暑い夏が訪れた。



 「丁…、君。」

 大きくなった莉奈美しくなっていたがかつての元気はなくなっていた。

 莉奈はとある流行り病にかかり、一人社で寂しくその苦しみに耐えていた。その流行り病は悲しいことに莉奈の母親が亡くなる原因となった病だった。

 村の人間は自分たちがその病にかかることを恐れ、莉奈を社の中に閉じ込めしまっていたのだ。


「早く、来て…。丁、君…。」

 莉奈は残り少ない命で丁を思っていた。莉奈は丁を生贄にさせてしまったことを莉奈はとても悔やんでいた。


「丁、君…。ごめんなさい。大人に、なるまで私、は…、生きられないみたい…、です…。だから、迎えに…、来てくれるまで…、待って、いますね…。」


 そう残すと莉奈はゆっくりと瞼を閉じた。


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