第7話 君の痛みさえ、
「ここ、は?」
試合が終わり、あたりが夕焼け色に染まったころ、莉奈ちゃんは目を覚ました。
「気が付いたかい?」
「え?あの、え?不二、先輩?あの、ここは?」
「ここは氷帝のテニス部の部室だよ。」
「え、部室!?す、すみません。」
「大丈夫だよ。それより、体調は大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫ですけど。」
「それならよかった。」
彼女に何があったのか僕は聞いておかなければいけなかった。もし跡部が何かやったのならお礼をしなくちゃいけないからな…。
「…、莉奈ちゃん、倒れる前に何があったのか話してもらえるかい?」
「…、なにもあの人たちは悪くないんです。」
「どういう、ことなんだい?」
「私、人に囲まれたり人が集まったりしているところに行ったりするとこんな風に意識を失ったりするんです。」
どうして、そんなことに…。
「…、私、先輩にはいつかお話ししなければならない時が来ると思っていました。まさか、こんなに早く話すとは思っていませんでしたが…。」
僕が彼女から聞いた話はわかっていたようでわからなかった…、いや、予想が当たって欲しくない話だった。
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