第5話 つれない態度に、


 ________そして、待ちに待った日曜日______


「莉奈ちゃん!」

 僕は氷帝の校門の前で待っていた莉奈ちゃんを見つけた。

「あ、不二先輩。こんにちは。」

「こんにちは。来てくれて嬉しいよ。」

「いえ、私のほうこそ迷惑かけてしまって…。」

「そんなことないよ。試合まで少し時間があるけどうする?」

「えっと、それじゃあ、この学校を少し探検してみたい、です。あ、コートの周りだけでもいいですから。」

 ふふふ、可愛い。遠慮してる。遠慮なんてしなくてもいいんだけどな。

「え!?か、可愛くなんてないですよ…。」

 心の声が出てたか。失敗失敗。

「本当だけどな。」

「い、いいですから探検しましょう?探検。」

 照れてる。思わず僕はいつも以上にニコニコしてしまっていた。

「じゃあ、行こうか。」

「はい!」

 莉奈ちゃんに微笑まれて嬉しくなっていたとき、

「不二〜!」

 大石という名の邪魔者が入ってきた。

「何だい?」

「すまない。手塚が呼んでいたんだ。何でも、急用らしい。」

「急用?でも…。」

 莉奈ちゃんといるつもりだったんだけど…。

「私なら大丈夫ですよ。大事な用事みたいですし、行ってください。」

 …、名残惜しいけど仕方ない、か。ここは莉奈ちゃんに行かないで…。なんて言ってほしかったんだけどな。

「大石、手塚はどこに?」

「バスの中にいたのをみたけど…。」

 バス、か。

「ごめん莉奈ちゃん探検は無理みたいだ…。」

「いいえ。私は大丈夫ですよ。」

「試合、終わってから家に送るよ。」

「え?でも…。」

「これの埋め合わせというかお詫びに。だめ、かな?」

「いいえ。ありがとうございます。帰り、楽しみにしてます。」

「そう?ならよかった。それじゃあ。」

 僕はバスに向かおうと走りだそうとした。

「あ、先輩。」

「なんだい?」

「試合、頑張ってください。応援、してます。」

 なんでこう、可愛いことをしてくれるんだろう。

「うん。がんばるね。」

 そう言って微笑むと僕は走り出した。




[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -