第4話 泣きそうな笑顔に、

「こんにちは。」

「こんにちは。返却ですか?」

「うん。よろしく。」

「では、少しお待ちください。」


 英二と大石とのゴタゴタから約一週間がたち、借りた本の返却日となった。最後にあった日から莉奈ちゃんとは一度も会えなかったが、この日をとても楽しみにしていた。

「はい。返却完了しました。本を所定の位置に片づけてください。」

「うん。ありがとう。」

 僕はこの本が莉奈ちゃんにおすすめしてもらっていたことを思い出す。

「そういえば、この本、とても面白かったよ。」 

「そうですか?お好みにあったようでよかったです。あの本、どちらかというと女の人が好きなジャンルなので…。」

「そう?男の僕が見ても結構面白かったけどな。」

「ふふふ。ならよかったです。あ、自己紹介してませんでしたよね。私、桐生莉奈といいます。」

「僕は不二周助。よろしく。」

 本当は知っていたけどね。

「不二先輩ってテニス部、ですよね?」

「うん。一応、レギュラーやってるよ。」

「やっぱり!どこかでみたことあるなぁって思ってたんですよ。」

「試合は、見たことあるの?」

「試合はちょっと…。私、人が集まっているところが苦手で…。」

「そうなんだ…。」

 そうだ、それなら。

「ねえ。」

「はい?」

「もし良かったら今度の日曜日、氷帝で練習があるんだけどきてくれないかな?」

「え?でも…。」

 少し不安そうにしている。

「大丈夫。このことは部員しか知らないから人は来ないよ。」

「…、それじゃあ、行ってみようかな?」

「ありがとう。それじゃあ、日曜日楽しみにしているよ。」

「はい。私も楽しみにしています。」

 ガラガラガラ…。

 よかった。彼女に来てもらえるよう約束ができた。これから日曜日が楽しみだ。

 

 それから僕は彼女に勝った自分を見せれるように放課後は練習に打ち込んだ。




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