彼女への疑惑は膨らむばかり
「そこに誰かいるのか」
黒崎くんの低音ボイス響き渡る。ヤバいよ、なぜか膝がガクガクしてきた!黒崎くん怖い!に、逃げよう!これ以上いられない!
クルッと反対方向を向いて不自然に思われないように出来るだけ普通に歩く。
「…なぁ、ルキア」 「な、なんだ?」 「あいつ…歩き方変じゃねえか?」 「…あ、あぁ」
…だ、大丈夫!平常心、平常心…!
「あの姿見たことあるような…」 「一護知っておるのか?」
あわわわわわ!!
「あ、同じクラスの!」
ヤバいヤバいヤバいヤバい
「………誰だっけ?」
ふざけんなああああああああ!
「っうわぁ!」
なにもないところで躓いて前に倒れそうになる。いや、この転けはわたしのせいじゃない!絶対わたしのせいじゃない!あれは黒崎くんが悪いから!
「はっ!唐揚げ弁当が!」
もしこの唐揚げ弁当をグシャグシャにしたらおばあちゃんからローキックを喰らう!嫌だ!それは嫌だ!
なんとか横に倒れようと体を捻って唐揚げ弁当を死守しようとする。
「待て、一護!お前が行ったってすり抜けるだけだぞ!」
目を瞑ると同時に人が支えてくれた感触を感じて目をゆっくり開ける。
「………いったた…。だれ?ん?く、黒崎くんがわたしを助けてくれたの?どうもありがとう!もう少しで唐揚げ弁当がグチャグチャになるところだったよぉ〜!」
ペコペコと土下座しながら頭を下げる。命の恩人じゃ!恩人じゃ!
「唐揚げ弁当グチャグチャにしたらおばあちゃんが怒るからさー…。あともうちょっとで色んなダメージがくるところだったよ…。あと黒崎くん名前覚えててね…。ほんと…あれはやっぱ傷つくわ……なんか…死にたくなるよ…って、?…黒崎くん?どうしたの?」
あれ?なんかわたし一人で必死に喋ってた。助けてくれた=言い人=友達になる、がわたしの方程式だ。あ、朽木さんとも友達になりたい。
「お、お前俺が視えるのか?」 「へ?」
黒崎くんのその声はやっと言葉のひとつが出たようだった。
「う、うん…」
コクリと頷くと目をパチクリさせていた。振り向いて朽木を見ると目をパチクリさせていた。
え?え?もうなに、この空気。さっきこの空気の中で喋ってたの?わたし。恥ずかしすぎて頭から火が吹き出そう。
「いつから見えんだ!?」 「小さいころからだよ」 「なんで視えること言わなかったんだよ!?」 「…他人の趣味を否定するのはよくないと思ったから」 「趣味?」 「え?分かんないの?わたしはてっきり黒崎くんや朽木さんはコスプレ好きのダイナミック戦闘ごっこ好きなんじゃないのかって…」 「ダ、ダイナミック戦闘ごっこ?」 「あの怪物みたいなでっかーいキモいやつと戦う遊び!」 「虚のことではないか?」 「ああ、多分な」 「あれ、ほろうって言うんだ」
関心していると黒崎くんや朽木さんはぼそぼそ二人で喋っていた。
「なあ、ルキア。こいつを一人にしててもいいのか?」 「わ、分からん…。」
朽木さんは頭を捻ってなにか考えているみたいだ。…視えたらあまりよくないのかな?
「なんかごめんなさい…」 「別に貴様が謝ることではない。」
朽木さんを少しの間見ていたけどわたしはコンビニ袋が音をたてたことに気が付いた。
「ごめん!わたしもう帰らないと!おばあちゃんが怒るから!また明日詳しく話聞く…げふ!」
後ろを見ながら走っていたせいで電柱に体をぶつけた。
「じゃ、じゃあまたね〜…」
なんだか今日は疲れたし散々な1日だった…。さっきコンビニで買い溜めしておいたチョコレートをひとつだけ食べよっと…。
…あ、やべ。名前言うの忘れてた。
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