「次はあれがいいです!」

ビシッと指すと森先輩の口からなにかが出てきた気がした。

今日は待ちに待ちまくった森先輩と初デートの日だ。緊張しまくった私とは違い、いつも通り待ち合わせ場所にいた森先輩を見て少しだけ安心した矢先、思い切り転けた森先輩にはびっくりしたけど大笑いしてしまった。だけどそれと同時に緊張していながらも楽しみにしていてくれてたんだ、という安堵にも包まれて本当に嬉しかった。

そこからは少し浮かれすぎてあまり覚えていない。寧ろ思い出したくもない。
ジェットコースターや絶叫マシンに乗り回した挙げ句の果てがこれだ。森先輩は今ぐったりとテーブルに寝転がっている。

「大丈夫ですか?これジュースです……」

ジュースを差し出すとお礼を言って飲んでくれる森先輩に少しだけ泣きそうになる。

「ごめんなさい……わた「アイスキャンディはいらんかねー、アイスキャンディはいらんかねー!」………え?」

くるっと振り返ってみると誰もいなかった。なんかさっきすごくハニー先輩にそっくりな声をしたアイスキャンディ売りの人がいたような気が…。

「……名前、次行くぞ」
「え!?まだ休んだ方がいいんじゃ…!」

「もう大丈夫だ」
「でも!」

立ち上がる森先輩を必死に止めようとすると森先輩は溜め息をついた。

「いつもみたいに笑ってる名前の方が元気になる」

そう言って私の右手を取って手をつないでくれた。
森先輩は実は馬鹿だと思う。私のわがままに付き合ってくれるなんて。

「馬鹿…」

そう言ったらコクンと頷いて少しだけ笑った森先輩に笑顔を向ける。

「観覧車、乗りませんか?」

森先輩の手を引いて私達は観覧車へ向かった。



パッションカラーに似た恋


「ハニー先輩なにやってるんですか!?」
「だって崇が名前ちゃんを困らすから仕方なく…ね?」
「「仕方なくって言うよりかなり楽しんでやってたよねー」」
「だがそのお陰で名前は嬉しそうだけどな」
「そうですねー…」