「んぎゃー!」

私を肩に担いですごい勢いで坂を下るエースに悲鳴を上げる。確かに足首を挫いたあたしが悪いとは思うけど、なんちゅう速さで駆け抜けるんだ。このそばかす。

「お前今失礼なこと思っただろ!」

なにこの子、怖い。

小さいころからずっと一緒にエースやルフィと居るけどほんと慣れないなー、とか思いつつ高速で駆け抜ける木々を見ながら目を閉じる。

「…あんた…もう少しでこの島でるんでしょ」
「無視かよ」
「すぐ死ぬと思うけど適当に応援しとくわ」
「お前は昔っから素直じゃねえなー」

苦笑いしながら次は上り坂を登っていくエースに溜め息を吐き口を開く。

「…私、エースと出会えてよかった」

そう言うとエースの笑い声がピタリと止んだ。

「なんだよ、いきなり」
「あんたがいつ死んでも私が後悔しないように伝えたいこと全部言おうと思って、ね」

私はこの島を出る気は全くない。だからエースに会うことはもう二度とないだろう。空を見上げると綺麗な星空、それを見て目を閉じる。

「私、わた…し……」

涙で視界がぐらつく。必死に抑えようと目に力を入れるけどやはり出てくるものは溢れだしてしまい、両手で顔を覆う。

「……エースのこと…!」
「名前、」

エースの声が聞こえてその続きを言うのを止める。

「それは…その続きは、いつかきっと俺が言うから」

真っ直ぐした声で私が好きな声で確かに言った

「俺は死なねえし絶対戻ってくる。だからそれまで待っとけ!」





ふと目を開けるとベッドの上
カーテンをゆっくり開けて空を見上げる。昼から寝ていたせいでもう夜だった。
あの約束から何年もの月日が経って、そしてエースが死んでからいくつもの夜を越えただろう。

「……綺麗…」

この星空は、
あのとき見た星空と一緒


今でも消えない滲んだスクリーン