「ねえねえ、悟天」
「なん……ぐふぉ!?」

「パイ投げ大会しよー」
「勝手に始めてるじゃん!」

無視して容赦なく悟天にパイを投げる。この日のためにどれだけ徹夜したと思ってんだ!

「よけるな!貴様はマトになるのだ!悟天よ!」
「ひどい!」

その後も投げまくるわたしにぐんぐん近づいてきてラスト一個と言うところで腕を掴んで止めてきた。

「は、はは離して!」
「離すワケないでしょ!この近距離で投げられたら……ん?」
「…どうしたの?」

悟天を見るとニヤリと笑ってよからぬことを企んでいる顔をしていた。

「お主なにを企んでおる」
「なにそのキャラ」
「やめなさい、その考えは私には聞かない、だからやめろ。」
「はい、どうぞ」
「やっぱり?……ぐぶぅ」

ちょ、パイを顔面にグリグリするのは止めてほしい。それは反則だと思う。



「ていうかこのパイ美味しいね。上手く作れた!」
「甘ったるくて僕は食べれないよ」

苦笑いする悟天に昔言われたこと思い出す。確か「名前ちゃんの味付けはすごく濃くて普通の人じゃ食べれない。」「名前ちゃんってズレてるよね…。」っていわれて結構傷ついたんだよなー…。

私が回想していると悟天は先にタオルで拭いていた。

「私も拭かせてよ!」
「やだよ〜」

意地悪そうな笑みを浮かべて私になかなかタオルを渡さない。

「このままじゃ髪の毛ギシバシになるし顔もギトギトになるよ。」
「んじゃ拭いてあげるよ」
「え?」

すっごい意地悪な笑みを浮かべて迫ってくる悟天に後ずさる。

「な、なに考えてんの」
「今名前ちゃんが考えてること」
「は!?なにやらしいこと考えてんの!?この変態!」
「名前ちゃんって古典的な引っ掛けに引っ掛かるよね」
「そんなことない!」
「だったらさっきどうして僕のことやらしいとか変態とか言ったの?やらしいことなんて考えて無かったのにな〜…」
「嘘をつくな!嘘を!」

悟天の肩を押すけど全く動かない。ていうか口元にパイついてる癖にその言動って…。

「ぶふっ」
「また名前ちゃんはこういう時に笑う!ムードないなぁ…もう!」
「はいはい」

軽く流すとムスッとする悟天にどや顔をする。悟天は私のことをバカにしすぎだと思う。

「悟天、こっち向いてよ」
「やだ」
「ならいいや」
「諦めはやいよ……っ!」

振り向いた悟天の口元にあるパイを狙って顔を近づけていく

が、寸前でカチリと止まってしまった。だってさ!照れるもん!ここからどうすればいいの!?

「慣れないことしちゃダメだよ…、名前ちゃん」

「うるさい…」
「でもありがとう」

悟天が最初から気付いてたみたいに口元についたパイを舐めてキスをした。


少し上を行く彼