「トランクスのバカ!」

チョップをして全力で家を飛び出す。ムカつくー!
事の始まりはあいつのせいだ!確かに私のご飯は不味いかもしれないけどあんなに拒否しなくてもよくない?こっちはトランクスのこと思いながら作ったのに…

「…でも…頑張ったのにな」

やっぱり不味いのはイヤか…。走っていた足がピタリと止まる。少しの間ぼんやりと立っていた。

「…捨てよう」

決心がついた。もう作っても一生トランクスにはあげない!

グッと拳に力を入れ、一人で気合いを高めていたら悟天の声が聞こえた。

「げ!悟天!」
「こんなとこでなにしてるの…?」


「……なんでいんのよ…。あんなとこ通るなよ…!」
「…あそこに僕が通らなかったらもっと恥ずかしいことになってたと思うよ」

いや、そうだけどさー…。こういうの見られるのが友達って一番嫌だ…。

「…ていうか、なんであんなとこであんなことやってたの?トランクスくんとなにかあったんでしょ?」
「う、バレた……それがね…」

事情を話すと悟天が「名前の手料理とは大変だな…」と呟いた。なにが大変だなにが!

「だけどさ」
「なに?」
「あー…言っていいのかな」

躊躇っている悟天に首を傾げる。悟天が私に隠し事なんて珍しい。衝動的に悟天の頬を引っ張った。さっきの恨みも込めて

「ちょ、痛い!」
「だったら言ってよ」

気になるじゃない、と言おうとしたら怒りに満ち溢れたトランクスがいた。

「…俺が必死になって死と戦ってたのにお前は……!」

ヤバい、なんか分からないけどすごい怒ってる。トランクス怒ると怖いんだって…!

「……バイバイ!」

悟天!待ちなさい!」

瞬時に危機を感じた悟天はあっという間に空の彼方に消えていってしまった。あいつ…、覚えてろよ…!

「……名前」
「な、なによ!」

トランクスから目を合わせないように明後日の方を見ているとトランクスが倒れた。

「ト、トランクスどうしたの!?」

慌ててトランクスに駆け寄ると顔色がかなり悪かった。な、なにかあったの…!?
「…お前の料理食ったらこうなった」
「え…」
「だって食べないともう一生俺には食べさせないから!とか言うだろ?…それだけは嫌だ」

切なそうに言うトランクスを見て泣きそうになった。

「バカ…」

言い返そうとするのを無視してトランクスの目元を両手で隠して唇に触れるだけのキスをした。

「…な!?」

倒れたままのトランクスを見て「先帰ってるから!」と乱暴に言ってその場から私は急いで逃げ出した。


真っ赤な果実をかじった