2014寒中見舞い 代表してss「揺れるしっぽに恋をした」の二人 冬休みのごろごろ一幕 * 「冬はいつ迎えても寒くてなれません」 炬燵に潜りながら、黒田はそう言っていた。頭だけが炬燵からはみ出している彼のその姿に、猫はこたつで丸くなるという言葉が鮮明に浮かんだ。体現しているから、笑ってしまう。 「これを超えれば春が来る。そうすれば転寝の季節だな」 「そうですね…」 年中寝てばかりな気もしますが。うとうとと目をしぱしぱとさせている黒田を、俺は撫でた。耳としっぽは隠していないけれども、人型だというのに、ゴロゴロという音が聞こえた。 「眠そうだな」 「…おいしいご飯も頂きましたから」 耳も軽くもんでやると、くすぐったそうに笑った。そうして俺のほうを見て、また、笑った。ほんとう、今までのあわただしかった時間なんてなかったかのような穏やかさ。嫌いなわけがない。 ううん、と、黒田は伸びをして炬燵から出てきた。出てきて、俺の左腕にぴったりと引っ付いてきた。 「どうした?」 「こちらのほうが温かいかと思いまして」 今まで炬燵に入っていたからか、黒田の体は熱かった。俺の体のほうが冷たいに決まっているが、黒田はそれ以上はなれようともしなかった。俺は笑って、また撫でた。心地温度が流れてくる。 そのままぐっすりと眠ってしまった黒田の頭を俺の膝まで運んだ。毛布を彼にかけるのも忘れないで。 そのうちに自分も眠くなってきた。今日はまだこれからだというのに、どうしようもなく。なのでそのまま横になってみると、黒田がもぞもぞと起き上って俺の腕を枕にした。それでも目は開いてないから無意識なのだろう。そんな彼を抱きしめて、心地の良い夢の世界へ。 …いい夢が見れそうだ。 * *あとがき* ごろごろしているだけ。それが彼らの幸せなのです。 *最後に* 喪中のため新年のあいさつを控えさせていただきます。代わりに、寒中見舞い申し上げます。こんな形ではありますが。 皆様にとって幸福を感じることができる年になりますように。 松毬 ← top texttop → |