色彩
■ 8.鬼道

・・・絶対に座学教えるの面倒なだけだと思う。
青藍は京楽が紹介するのを聞きながらそう思った。
でも、実習の方が面白いからいいか。
まだ母上たちが何を企んでいるのか解らないから気は抜けないけど。
「さて、じゃあ、僕らも移動しようか。案内、よろしくね、青藍君、雪乃ちゃん。」


「ご案内いたします。」
『こちらへどうぞ。』
二人はそう言って案内をする。
そんな二人を、咲夜、京楽、浮竹、乱菊は楽しそうに見つめ、ルキア、恋次、イヅルはそれに同情するような目を彼らに向けたのだった。


「さぁて、皆居るかな?じゃあ、鬼道からやろうか。そうだねぇ、僕らの中で鬼道が得意なのは浮竹に咲ちゃん、ルキアちゃん、七緒ちゃんに吉良君かな。」
「おいおい、お前はやらないのか?」
「え?ほら、僕は進行係だから。」


「京楽はいつもそうやって出来ることを隠すよなぁ。」
咲夜はそう言ってじとりと京楽を見る。
「やだなぁ。僕は鬼道って感じじゃないでしょ?」
「じゃあ何をやるつもりなんだ?」
「さぁて、ね。とりあえず僕は進行係をやるよ。」


「何もやらなかったら、最後に私が相手をしてやる。院生の前でぼこぼこにしてやるから覚悟しておけよ。」
「それはいいですね。私も参加いたします。」
「俺も参加しよう。」
「・・・ちょっと、皆僕をいじめすぎじゃない?」


「さて、拗ねている京楽は放って置いて、まずは私たち五人が見本を見せよう。そうだなぁ、せっかくだからみんな違う鬼道を使ってみようか。もちろん破道だよ?」
咲夜が楽しそうに言った。
「・・・漣、八十番台は駄目だぞ。」


「えー楽しいのに。京楽を的にしても駄目?」
浮竹の言葉に咲夜は不満げだ。
「駄目に決まっているだろう。どれほどの破壊力があると思っているんだ。京楽はいいとしても、霊術院が吹き飛んでしまう。」


『いいじゃないかそんなの。白哉に言えばもっときれいな霊術院が出来上がるぞ。』
「お前な・・・。そういう問題じゃないだろう。お前は大人しく衝でもやるんだな。それならこの距離で的に当てるのも大変だろう?」
「はいはい。解りましたよー。」


「ちなみに俺が赤火砲な。」
「では私は蒼火墜をやらせていただきます。」
「吉良副隊長はどうされますか?」
「僕は・・・白雷でもやろうかな。」


「では私は、何をやりましょうか・・・。」
ルキアが困ったように言った。
「ルキアは双漣蒼火墜でもやったら?」
「それは・・・いいのでしょうか?」
「いいだろう。漣がやるのでなければ問題ない。」
「解りました。」


「じゃあ鬼道の番号が低い順からやろうか。皆外すなよ。」
「・・・プレッシャー掛けないでくださいよ。」
「あはは。さて、やるか。・・・破道の一、衝!」
咲夜の放った衝は的をバラバラにしてしまう。


「あれ?加減したんだけどなぁ。」
「この距離を加減した衝であそこまで出来るって・・・。やっぱり咲夜さんは規格外ですね。」
「あはは。次はイヅルの番だよ。」


「解りました。・・・破道の四、白雷。」
放たれた白雷は的のど真ん中を貫通する。
「さすがにこのくらいは余裕だな。」
「一応・・・。僕だって副隊長ですからね。」


「よし。次は俺だな。なんかこう、後にやるほうが緊張するな。」
「浮竹、外したら一週間甘いもの禁止。」
「ははは。頑張ろう。・・・破道の三十一、赤火砲!」
見事ど真ん中に的中した。
「なんか、腹立つな・・・。」
「なんでだよ。」


「完璧すぎる!文句のつけようがない。だから腹立たしい!」
咲夜が悔しそうに言った。
「俺にどうしろって言うんだ・・・。」
「外せばよかったのに。面白くない。」
「なんでお前のために外さなきゃならないんだ・・・。」
二人は言い合いを始める。


「また始まってしまったな・・・。」
ルキアが苦笑する。
「朽木さんも毎日大変だね。」
二人の様子に、イヅルもまた苦笑を漏らすのだった。
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