色彩
■ 7.特別講師

ガラリ、と教室の扉が開かれる。
担任に続いて京楽、七緒、乱菊、恋次、イヅル、ルキアそして咲夜が入ってきた。
ここまではほぼ予想通り。
ルキア姉さまが来たのは意外だ。


だが、咲夜の後に、もう一人入ってくる人物がいる。
長い白髪に白い羽織。
その背には十三の文字。
・・・十四郎殿。
青藍はこの時、この企みは京楽と咲夜だけの企みではなく、この同期三人の企みであることに気が付いた。


『・・・はぁ。』
青藍は小さくため息を吐く。
隊長格の登場に教室の内外でざわめきが起こったため、その溜め息は青藍にしか聞こえることはなかったが。


「今日は一日特別講義となります。本日は京楽隊長のご厚意により、これほどの隊長格に来ていただきました。心よりお礼申し上げます。」
担任はそう言って一礼する。
「いやいや、構わないよ。僕らもたまには院生たちと交流しなきゃね。」
「そうでしたか。では、今日は隊長方には二人の院生をお付けいたしますので、彼らを通じてご自由に院生たちとご交流ください。立花、朝比奈、前へ。」


『「はい。」』
担任に言われて、二人は立ち上がって前に出た。
『本日、皆様方のお付きをさせて頂きます、立花青藍と申します。』
「同じく、朝比奈雪乃と申します。」


『「よろしくお願いいたします。」』
「うん。よろしくねぇ。」
青藍は他の生徒には顔が見えないことをいいことに、仏頂面で挨拶をした。
京楽はそれを面白そうに見つめる。


「さて、では、隊長方よろしくお願いいたします。」
「はいはい。じゃあ早速始めようか。まず、今日来てくれた隊長副隊長の紹介をするよ。一番最後に入ってきた白い髪のおじさんは浮竹十四郎。十三番隊の隊長だ。」
「みんな今日はよろしく。」
浮竹はそう言って微笑む。


「そしてその隣に居るのは朽木咲夜。六番隊隊長、朽木白哉の奥方だ。十三番隊所属だよ。」
「よろしく。」
「え、咲ちゃん、それだけ?朽木隊長とのラブラブな話とかないの?」
からかうように言った京楽を、咲夜はちらりとねめつける。


「・・・京楽の恥ずかしい話ならあるぞ。なぁ、浮竹。」
「そうだな。いくらでもあるぞ。」
二人はそう言ってニヤニヤと笑う。
「うわ、そういうのやめてよ。この二人は僕の同期なんだ。もう何百年も一緒に居るんだよ。」


「「腐れ縁だな。」」
「ちょっと酷くない?・・・さて、次は朽木ルキア。十三番隊副隊長で、六番隊隊長の妹、つまり咲ちゃんの義理の妹になるんだ。」
「よろしくお願いいたします。」
「こんなに可愛いのに強いんだぞ。」
咲夜はそう言ってルキアに抱き着く。


「姉さま・・・。」
そんな咲夜にルキアは苦笑する。
「ルキアちゃんに抱き着くなんてずるくないかい?僕だって抱き着きたい。」
「へぇ?そんなことをしてみろ。私と白哉で塵にしてやる。」
「ちょっと咲ちゃん、冗談にしては目が本気だよ・・・。」
「本気だからな。」


「全く怖いんだから。それでその隣が三番隊副隊長、吉良イヅル。」
「よろしくお願いします。」
「その隣は六番隊副隊長、阿散井恋次。」
「よろしく。」
「この副隊長三人は同期なんだよ。タイプが違うけど、結構仲良しだよねぇ。」


「えぇ、まぁ。」
「そうっすね。特にルキアは知り合ってから長いっすからね。」
「じゃあ次はあたしね!あたしは松本乱菊。十番隊の副隊長よ。乱菊お姉さんって呼んでもいいわよ?」
乱菊はそう言って音のなりそうな勢いのウィンクをした。


「乱菊ちゃんと僕は呑み友達なんだ。」
「・・・サボり友達でもありますよね。」
「いやだなぁ、七緒ちゃん。僕らは仲良くお酒を呑んでいるだけじゃない。」
「そうよ、七緒。」
「・・・はぁ。」
二人の様子に七緒は深いため息を吐く。


「で、この黒髪美人のお姉さんは八番隊副隊長の伊勢七緒。」
「よろしくお願いいたします。」
「硬いわねぇ。七緒ったら。愛想笑いぐらいできないの?」
「松本さん、今日は遊びに来たわけではないんですよ。」
「まったく、真面目なんだから。」


「それで僕が八番隊隊長京楽春水だ。よろしくねぇ。」
京楽はそう言ってへらりと笑う。
「隊長にセクハラを受けた場合は私にご連絡ください。天誅を下します。」
「いやだなぁ、僕はセクハラなんてしないよ?」


「そうですか?では何故毎日私の所に女性隊士が泣きついてくるのでしょうね。」
「たまに俺の所にも来るぞ。」
「私の所にもだ。」
「私も何度か相談を受けたことが・・・。」
「実は・・・僕の所にも。」
「この間、うちの隊士が書類配達から帰ってきたら泣き出して困ったんすけど。」


「・・・あはは。」
京楽は笑って誤魔化そうとする。
「ま、昔からだから仕方ないな。女生徒の皆は気を付けるように。セクハラされたら殴っていいからな。」
「えぇ。そのあとご報告いただければ、私たちの方で処理しますので。」
咲夜と七緒はそう言って微笑む。


「ちょっと、咲ちゃん、七緒ちゃん・・・。僕のイメージが台無しじゃないの・・・。」
「京楽のイメージは、女好きの酒好きのおじさんだろう。」
「そうですね。そこにサボり魔も付け加えておいてください。」
「そうだな。」


「・・・なんか納得いかないけどまぁいいか。紹介はこのくらいでいいかな。じゃあ、講義を始めようか。僕らみんなで話し合ったんだけどね、座学は詰まらないから、今日は実習をやるね。一日かけて斬拳走鬼全部やろうね。と、いうわけで、皆斬魄刀をもって外に移動!」
[ prev / next ]
top
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -