色彩
■ 5.応援の到着

「みんな無事かい?」
「「「「!!!!」」」」
院生たちの元にふらりとやって来たのは京楽である。
後ろには七緒も控えていた。
蓮たちもその後ろに続いている。


「「京楽隊長、伊勢副隊長!お疲れ様です!」」
薫と千景はそう言って頭を下げる。
「君たちが引率だったのか。大変だったねぇ。遅くなってしまって悪かった。」
「隊長が勤務中にも関わらず姿をくらましているからです。」


「あはは。ごめんねぇ。いつも僕のところまで回ってこないんだけどなぁ。まぁ、間に合ったんだからいいじゃない。それで?負傷者の様子はどうだい?」
「今、青藍と雪乃・・・一回生の二人が治療をしてくれています。」
薫は危うく普通に説明してしまいそうになりながらいった。


「そう。救護班が来るにはもう少しかかるから、君たちはその子たちを残して、先に尸魂界に帰りなさい。後処理は僕らが引き受けるよ。」
「解りました。よろしくお願いします。」
「七緒ちゃん、僕らも治療手伝うよ。」
「はい。」
京楽と七緒はそう言って青藍たちの元へと向かっていった。


「一回生!これから穿界門を開く!来た時と同じように俺に続け!」
「「「「はい。」」」」
「開錠。」
穿界門が開かれ、院生たちは尸魂界に帰って行った。


「やぁ、青藍。それに雪乃ちゃんも。」
「京楽隊長!」
『春水殿?珍しい人が応援に来たんですね。』
青藍は京楽の登場に目を丸くした。


「いやぁ、困ったよ。山じいは四十六室の会議に行っていて、二番隊は隠密で忙しくて、三番隊は書類整理で忙しくて、五番隊は隊長が非番。六、七、九番隊は任務。十番隊は乱菊ちゃんのため込んだ書類に日番谷隊長が埋まっていて、十一番隊は皆二日酔い。十二番隊は研究室から出てこないし、浮竹は今日調子が悪い。咲ちゃん、今日は四番隊に居るし・・・。」


「そのうえ京楽隊長がいつものようにふらふらとしていたので遅くなってしまいました。ごめんなさいね、青藍君、雪乃さん。」
『いえいえ。みんな無事ですからね。』
「これも勉強だと思えば貴重な体験ですわ。」


「あはは。そうかい?それで、青藍ってばあんなに目立って虚倒しちゃったけど、どうするのかな?」
『あはは。そのことはなるべく伏せる方向で。春水殿が倒したことにでもしておいてください。』
青藍はそう言って苦笑する。


「相変わらずだねぇ。でも、みんな見ていたんじゃないの?」
『先輩方に結界を曇らせてもらって中からは見えないようにしてもらいました。』
「あの子たちそんなことも出来るの。」
京楽は意外そうに言った。
『えぇ。先輩方は斬術が一番得意ですが、鬼道の腕も中々のものですよ。』


「まったく、あの二人といい、雪乃ちゃんといい、青藍の友人は優秀だねぇ。これだけ治療できていれば、すぐにでも帰れるじゃないの。」
「そうですね。救護班は必要なかったかもしれません。」
『ふふ。そうでしょう?自慢の友人です。』


「京楽!!」
そんなことを話していると、穿界門が開き、咲夜を先頭に救護班が現れた。
「おやぁ、咲ちゃんが来たのかい?」
「あぁ。丁度手が空いたのだ。」
『母上?』


「やぁ、青藍。無事で何より。始解したようだな。」
『あはは。状況が状況だったので。』
「で?どうだった?初めての巨大虚は。」
『さすがになかなか手強いですねぇ。思ったよりも硬くて手間取りました。』
青藍はにこにことしていった。


「・・・嘘ばっかり。」
そんな青藍を見て雪乃がポツリとつぶやく。
『本当だよ?』
「嘘よ。だって、結界の中から青藍が見えなくなってから、ここに戻ってくるまでそう時間はかからなかったもの。」


『あはは。時間計ってたの?』
「当然よ。あんまり長く帰ってこないようだったら出ていこうと思っていたんだから。」
「ふふふ。青藍を心配してくれたのか。ありがとう、雪乃。」
咲夜はそういって微笑んだ。


『そっか。心配かけてごめんね?心配してくれてありがとう。』
青藍もまた微笑む。
「・・・心配なんてしてないわ。」
そんな青藍に雪乃はそっぽを向く。


「さて、救護班も来たことだし、君たち二人は帰りなさい。あんまり長くこっちに居ると、怪しまれるからね。」
京楽は悪戯に笑いながら言った。
『あはは。そうですね。では、あとはよろしくお願いします。』
「二人とも、お疲れ様。よく頑張りました。」
咲夜はそう言って二人の頭を撫でる。


『母上・・・恥ずかしいですよ。』
「ふふ。いいじゃないか。頑張った子は褒めてやらねばな。」
『・・・ありがとうございます。雪乃、帰ろうか。』
「そうね。青藍もお母上には敵わないのね。」
『五月蝿いよ、雪乃。・・・では、帰ります。開錠。』
そして青藍と雪乃は漸く尸魂界へと帰ったのだった。
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