色彩
■ 3.新手

『皆さん!尸魂界への応援要請はすでにしてあります!すぐに応援が来ることでしょう!それまで持ちこたえてください!』
死神の元へと駆け寄った青藍はそう叫んだ。
「解った!君は避難しなさい!」
『いいえ!僕も戦います。』
「君は一回生だろう!」


「あれ、青藍?」
死神たちの中から聞き覚えのある声がする。
『蓮!僕も戦うよ。それからけが人は雪乃の所に運んで!』
「わかった!助かる!ありがとう!けが人は院生の所へ運んで!治療のできる子が居るから。」
蓮はそう言って周りの死神に指示を出す。


「南雲三席、彼は?」
二人を見ていた死神が怪訝そうな顔をしていった。
「彼は青藍。いつも書類の配達に来る青藍だ。僕より強いから安心していいよ。」
「「!!!」」
「それはつまり・・・。」


『あはは。そういうことです。霊術院には秘密にしているので驚くのは後にしてくださいね。それから、このことは口外しないでください。』
青藍はそう言って悪戯っぽく笑う。
「この状況で笑っていることが出来るなんて、流石青藍だよね・・・。」
青藍の表情に蓮は苦笑した。
『ふふふ。・・・さて、皆さん、虚が来ますよ。構えてください。』


悲鳴を上げた虚が青藍たちの方に向かってくる。
『僕が足止めをしますから、皆さんはその間に虚を斬ってください。蓮、よろしく。』
「了解。皆、行くよ。」
「「「はい!」」」
蓮を先頭に死神たちは虚に向かって走り出す。


『・・・縛道の六十一、六杖光牢!』
青藍の放った鬼道は虚の首に命中する。
急に動けなくなったことに戸惑った虚に隙が出来る。
『縛道の六十二、百歩欄干!』
これで足を固定した。
『縛道の六十三、鎖条鎖縛!』
そして胴を捕える。


「今だ!鬼道を放て!」
「「「破道の三十一、赤火砲!!!!」」」
死神たちは鬼道を放つが、命中しても致命傷には至らないようだ。
青藍は死神たちの元へと駆け出した。


『蓮、意外と硬いみたいだね。』
「そうみたい。青藍、あとどのくらいあれで捕えていられる?」
『応援が来るまでは持つかな。』
「そう。それは良かった。死神で無事なのは僕らだけのようだから。」
『うん。じゃあ、僕らで何とかしよう。』
青藍はそう言って虚を見つめる。


その時。
院生たちの方から悲鳴が上がった。
『「「「!!!!」」」』
『やっぱり、一匹じゃなかったみたいだね。』
「そうみたいだ。」


『・・・蓮、この虚、頼んでもいいかな?僕は向こうに行くね。』
「うん。始解すれば僕一人でも大丈夫だよ。本当はなるべく隊士たちに経験を積ませるのがいいんだけど。そうも言っていられないからね。青藍こそ、一人でいいの?」
『ふふふ。流石蓮だ。頼もしいね。こっちは・・・一人の方がいいかな。』
青藍は意味ありげに笑った。


「まさか、使うの?」
その表情に蓮は目を丸くする。
『うん。目立ってしまうけど、この状況だしね。』
「そう。こっちは僕らで何とかする。向こうをお願い。」
『了解。気を付けて。』
「うん。青藍も。」
そういうと、青藍は瞬歩で院生たちの元へと向かった。


「・・・くそ。俺たちでは相手にならない。」
「そのようだね。向こうも手一杯のようだ。」
二人は院生たちを庇い、必死に防御に徹していた。
『先輩!!・・・縛道の六十三、鎖条鎖縛!』
そこへ青藍が姿を現し虚の動きを止めた。


「「青藍!!」」
『無事で何よりです。ここから先は僕が相手をします。先輩方は皆の所に行って全員で結界を強めていてください。』
「待て青藍。一人でやるつもりか?」
『大丈夫です。これを使いますから。』
青藍はそう言って腰にあるものに触れた。


「勝算は?」
『七割程度でしょうかね。まぁ、大丈夫ですよ。最悪応援が来るまで持ちこたえればいいので。』
「・・・わかった。」
『それから、できることなら外が見えないような結界にしてほしいのですが・・・。皆にみられるのはちょっと・・・。』


「あはは。僕らそんなことばかりしているね。」
「わかった。任せろ。」
『よろしくお願いします。』
「「気を付けて。」」
二人はそういうと、すぐに院生たちの元へと向かった。
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