色彩
■ 2.巨大虚出現

「では、穿界門を開くぞ。・・・開錠。」
千景が穿界門を開く。
「では俺に続いて付いて来てくれ。」
千景はそう言って先頭を歩き出し、一回生もそれに続く。


「やぁ、青藍。」
その間に薫が最後尾までやってきた。
『薫先輩。今日はよろしくお願いします。』
「ふふ。君たち二人ならそう難しい実習じゃないだろう。僕が手を貸す必要はないかもね。」


「そんなことありませんわ。青藍はともかく、私はまだまだですもの。青藍の足を引っ張らないように頑張るわ。」
『うん。頑張ろう。』
「さて、では行こうか。」
『「はい。」』


『久しぶりに見る風景だなぁ。』
穿界門から出た青藍は現世を見てそう言った。
「これが現世なのね。尸魂界よりもずっと建物が多いのね。」
『そうだね。』


「では、これより偽虚を開放する。組ごとに一体ずつ昇華してくれ。弱点は虚ごとに異なっているので戦いながら弱点を把握すること。わかったな?」
千景の言葉に一回生達は返事をする。
「では斬魄刀を構えて・・・始め!」


『行くよ、雪乃。』
「えぇ。」
二人はそういって走り出した。
薫は二人の近くに居るが、他の一回生にも注意を配っている。
『雪乃は右側ね。僕は左側。』
青藍は一匹の虚を指さして言った。


「あの虚ね。解ったわ。」
『僕が先に行くね。弱点を見つけなきゃ。』
青藍はそう言うと足を速めて虚の前に躍り出た。
『破道の四、白雷。』
まずは鬼道を放って様子見だ。
青藍の放った白雷は虚の鱗に弾かれた。


「破道の四、白雷!」
追いついた雪乃は鱗の無い場所を狙う。
そして、見事に的中し、貫通した。
「青藍!弱点は鱗の無い腹部だわ。」


『そうだね。じゃあ、片付けてしまおうか。』
「えぇ。」
『「破道の三十一、赤火砲!!」』
二人の放った鬼道は腹部に的中し、偽虚は昇華された。
「流石だね。お見事。」
それを見ていた薫が近づいてくる。


『ありがとうございます。』
「じゃあ、穿界門で出てきたあたりに先生が居るから、報告をして、その場で待機していてくれ。僕は他の一回生達を見てくるから。」
『はい。』
「解りました。」


『思ったより早く終わったね。』
青藍は待機場所で他の皆の様子を見ながら言った。
「そうね。あのくらいなら、私一人でも大丈夫だったかも。」
『そうだね。・・・あ!あそこにキリトたちが居るよ。』


「本当だわ。侑李が切り込んで京が鬼道で援護射撃。最後にキリトがとどめを刺す。・・・中々いいチームワークね。」
『うん。手際もいいね。朝の稽古、頑張っているものね。』
「そうね。」


「あれ、俺たち二番目だぜ。」
「早いと思ったんだけどなぁ。」
「一番はやっぱり青藍たちだったか。」
そんなことを言いながら三人は二人の元へやってきた。
『みんな、お疲れ様。』
「お前ら、早すぎ。」
侑李が呆れたように言った。


『あはは。』
「当然だわ。こっちには青藍が居るんだもの。」
『雪乃だって相当なものだよ。』
「でも青藍にはまだまだ敵わないわ。」
「はは。青藍に敵う奴なんて霊術院には居ないだろ。」
「確かにそうだね。」


五人でそんな会話をしていると、突然悲鳴が上がった。
そして、大きな霊圧がその場に現れる。
『これは・・・本物の虚だ!』
青藍はそういうとそちらへと駈け出した。


「あ、ちょっと青藍!?勝手に動くのはまずいよ!」
『キリトたちはそこに居て!複数いるかもしれないから周りに注意して!この霊圧、結構強い奴だよ。』
「一回生は避難!」
千景の叫び声が聞こえる。


「尸魂界に応援要請!現世実習中に巨大虚が出現!現在死神が交戦中ですが、状況は良くありません!」
薫は尸魂界に連絡を取っているようだ。


『薫先輩!』
「青藍。大変なことになったな。」
『そのようですね。敵はあれ一匹でしょうか?』
「解らない。青藍、君は・・・。」


『避難はしませんよ。死神たちの援護に回ります。千景先輩は結界を張って院生たちのそばに居てください。混乱しているでしょうから。薫先輩は逃げ遅れた院生が居ないか確認をお願いします。それが終わったら、怪我をした死神を雪乃のところへ運んでください。雪乃ならあのくらいの傷は治せます。』


「・・・わかった。」
「気をつけて。」
『えぇ。先輩方も。』
そうして三人は動き出した。
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