色彩
■ 6.対面


「お前も大概修兵の扱い酷いよな・・・。」
「隊長には言われたくないっす。隊長、何時になったら編集長になってくれるんすか?」
「ならねぇっていってんだろ。」
「隊長のせいで、俺、副編集長にまで出世しちゃったじゃないですか!」


「知らねぇよ。・・・よく帰ったな、青藍。」
「スルー!?俺のことスルーっすか!?」
「うるせぇな。黙れ。隊長命令。」
「!!!」
言われて侑李は悔しげに沈黙する。


『あはは。あんまり侑李を苛めないでくださいね、拳西さん。』
「めげないのが長所だから大丈夫だろ。・・・此奴、役に立っただろ?」
『えぇ。迎えに来たものは全員が、腕を上げていて驚きました。大事な席官を送り込んでくださったこと、大変感謝いたします、鳳橋隊長、六車隊長。』


「何でその二人だけやねん。」
二人に礼を述べた青藍に、真子は不満げに言う。
『ふふ。真子さんもありがとうございます。玲奈さんや豪紀をお貸しくださり、大変感謝いたします、平子隊長。』
「勝手に出て行く奴になんか貸した覚えないわ、ボケ。」


『ふは。真子さんらしいですねぇ。素直じゃないところが素敵です。』
「お前なぁ、笑顔で言えば何でも許されると思てるやろ?」
『ふふ。真子さんは許してくれますからね。何だかんだ僕のことを甘やかしてくれますし。』


「・・・。」
にこにこと言われて、真子は黙り込む。
「・・・はぁ。嫌になるほど、サクの息子やな、お前。」
そんな青藍に、真子はため息を吐きつつも、安心した表情を浮かべたのだった。


その後も隊長副隊長席官が青藍に声を掛ける。
元柳斎までが出迎えて、皆が目を丸くした。
その様子を見ていた梅園は顔を青褪めさせる。


「そんな、馬鹿な・・・。何故、あれらは、あれを受け入れている・・・?」
小さく呟いた梅園に、十五夜と響鬼はチラリと視線を合わせて、小さく頷く。
「朽木青藍は、かの地で死亡したということではありませんでしたか。」
「今、僕の目の前に居るのは、朽木青藍のようだが。」
二人はそう言って梅園を見つめる。


「そ、それは・・・。」
「一体、どういうことなのでしょうか。」
「朽木青藍死亡の一報は四十六室より発せられたはずだ。我々にも、そのような報告が上がってきた。だが、我らが朽木青藍を見間違えるはずがない。あそこに居るのは、間違いなく朽木青藍。説明をして頂きたいものだね。」
皆に聞こえるように言った十五夜に、さも今気が付いた、というように、青藍は梅園を見た。


『十五夜様?響鬼も。それに・・・四十六室の方ではございませんか。お久しぶりにございます、皇梅園様。』
青藍はにっこりと微笑む。
「何故、此処に・・・。」
微笑まれた梅園は怯えた瞳で青藍を見る。


『私がかの地で死亡した、という報告を受けて、その確認のために私を探しに来たものがあったのです。話を聞いて大変驚かされました。私は死んだ覚えなどないというのに、瀞霊廷では、死んだことになっているのですから。その上、部隊長相模迅は、そのような報告をした覚えはないとのこと。一体、どういうことなのか、と、皆疑問に思いまして。そして何やら、私を見つけた際には、私を元の地位に戻してもいいという許可を頂いているうえ、相模迅遠征部隊の帰還を命じられていると。私はそう聞かされて、今、ここに居ります。』


「・・・なんだ。皇殿を見送りに来てみれば、騒がしい。」
そう言ってナユラが姿を見せる。
その後ろには四十六室の者たちが続いていた。
青藍の姿を見て、目を丸くする。


『これはこれは。四十六室の皆様。お久しぶりにございます。』
青藍に微笑まれて、何人かが小さく震えたようだった。
「朽木青藍・・・?死んだという報告があったようだが。」
ナユラはそう言ってチラリと梅園を見る。
『えぇ。そのようですね。』


「・・・本物か?」
『えぇ。』
「本物だとしても、帰りが早すぎる。朽木青藍を迎えに行った者たちが出発したのは二十日ほど前だったはずだ。片道二週間と聞いている。つまり、往復で一月はかかるはずだ。」
吟味をするように言ったナユラに、青藍は笑う。


『昼夜走り続ければ、七日で駆け抜けることが出来る道です。お疑いならば、本物だという証明をすることも出来ますが、如何いたしましょう?』
「どのような方法で?」
『貴方方四十六室が最も恐れる姿をお見せいたしましょう。』


青藍の顔は微笑んでいるが、その全身から冷ややかな気配が漂っている。
それを感じ取ったナユラは、目の前に居るのが本物の朽木青藍であると確信した。
確信したうえで、口を開く。


「少し、見せてもらえるか。その方が、納得する者も多いだろう。」
『畏まりました。』
頷いた青藍が斬魄刀の柄に手を掛けると、その手を止める者があった。


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