色彩
■ 1.現世実習

怪我もすっかり完治した青藍は、いつものように実習の授業に参加していた。
加賀美は謹慎が解けて以来、すっかり大人しくなっている。
何でも、次期当主という立場から、次期当主候補という立場に格下げされたらしい。


それはそうと、入学から数か月経って二回生への進級も間近となった今では、院生たちの刀捌きも中々板についてきた。
特に、侑李、京、キリト、雪乃は特進クラスの中でも優秀な部類だ。
もちろん、青藍はクラスの中で一番優秀である。
座学を含めた総合的な成績においては、青藍はサボり気味なため、キリトに次ぐ次席なのだが。


試験のたびに、キリトが青藍は手を抜いていると文句を言う。
しかし、青藍はそれを改める気はないらしい。
ちなみに三番手は雪乃である。
近頃は雪乃も座学の授業に出ることは少なくなっており、午前中は青藍と共に護廷隊を駆け回っていることが多くなった。


「さて、今日はここまで。ここで、重要な知らせがある。」
いつもより早めに試合を終わらせた先生が言った。
「来週、このクラスは現世実習を行うこととなった。」
その言葉にざわめきが起こる。
青藍もまた、楽しそうな表情になった。


「静かに!偽虚とはいえ、お前らにとってはそれなりに強敵だ。現世実習に浮かれることなく、心して臨むように。」
「「「「「はい!」」」」」
「では、今日は以上。解散。」


「楽しみだね、青藍。」
授業を終え、皆で寮へと向かいながらキリトが嬉しそうに言った。
『うん!僕、現世に行くの久しぶりだ。』
「行ったことあるの!?」
キリトは目を丸くする。


『ふふ。まぁね。貴族の家にはそれぞれ穿界門があるから。』
「そうなんだぁ。現世ってどんな感じなの?」
『尸魂界よりも技術が進んでいるよ。色々なものがあって面白いんだ。』
「それは楽しみだな。」
「僕も。雪乃は行ったことあるの?」


「私はないわ。お父様が駄目だというから。」
雪乃は不満げに言った。
「じゃあ僕らと一緒だね。」
「頑張ろうね!」


一週間後。
「いよいよ今日が現世実習だね!」
キリトはわくわくした表情で言った。
「おう。楽しみだな。」
「僕ら三人が一緒で、青藍と雪乃が一緒の組か。」


『うん。籤引きだったのに凄いね。』
「そうね。まぁ、青藍が居れば心強いわ。」
『あはは。雪乃も結構強くなっているけどね。』
「本当だよ。雪乃、いつの間にかとっても強くなっているよね。」


「お前ら、午前中何処に居るんだよ。青藍は何時まで経っても見つからないし、クラスの女子も雪乃がどこにいるか知らないって言ってたぞ。」
「ふふふ。秘密です。」
雪乃はそういって笑う。
『まぁまぁ、それはいいじゃないの。ほら、見てみなよ。今日の引率は薫先輩と千景先輩だよ。』


「今日の引率を務める六回生の峰藤薫だ。」
「同じく六回生の茅嶋千景だ。」
「実習とはいえ、気を抜くことの無いように。一応死神の方々も控えているが、実習中に本物の虚に遭遇した例もあるからね。僕らの指示に従って、勝手な行動は慎むように。」


「これからは三人一組となって行動してもらう。人数の都合上、一組だけ二人組となっているが、そこは俺らがフォローに回るから安心していい。では、同じ番号の籤を引いたもの同士で固まってくれ。」
千景の指示に従い、一回生たちは移動する。


「・・・あら、私たち、二人みたいね。」
『そうみたいだね。まぁ、二人で頑張ろうよ。』
「そうね。」
「二人組の所は手を上げてくれ。」
薫に言われて青藍が手を上げる。
「解った。君たちは最後尾に並んでくれ。」
『「はい。」』
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