色彩
■ 24.合流


「・・・俺などが、近づいてもいい人たちだろうか。」
生真面目にそう言った迅に、侑李は小さく笑う。
「本人たちに聞けばいいと思いますよ。青藍は、当たり前だって、笑うと思いますけど。」


「ランは・・・そうだろうな。」
「他の方々も、概ねそういう感じじゃないですかね。朽木家の名前にしか興味のない者はすぐに見抜いて切り捨てる勢いですけど、迅さん、朽木家の名前には興味がなさそうだ。」


「そうだな。あまりない。・・・ランに、付いて行きたいと思ったからな。朽木家とか、関係なく。ランが切り拓くものを、見てみたいというか・・・。」
「それじゃあ、大丈夫でしょう。青藍が迅さんを認めているのですから、受け入れてくれると思います。俺たちもそうだったから。」


「・・・迷わずついて行け、か。」
呟くように言った迅に、侑李は首を傾げる。
「この前、さっきの響鬼という少年と一緒に、金髪碧眼の男が来たんだ。お月見みたいな名前らしいが。」


「・・・あー、はい。そんな方がいらっしゃいますね。」
侑李は苦笑しながら言う。
「その方が、ついて行くなら迷わずついて行け、と。」
「なるほど。それは聞き入れておいた方がいいですよ。あの方、只者ではないので。」


「そうなのか?いや、まぁ、突然出てくるあたり、そうか・・・。お前もあの方が何者か知っているのか。」
「えぇ。まぁ、その辺は、帰ればすぐにわかるかと。」
「そうか。・・・俺は、彼奴を見ていたい。力になりたいと思ったのは、彼奴で、二人目だ。」
そう言った迅を侑李はじっと見つめる。


「決めましたか?」
「あぁ。俺は、ランについて行く。・・・実は、結構前に決めていた。」
「そうでしたか。苦労しますね、お互いに。青藍の面倒を見るのは、大変ですよ。」
「そうだな。この三年でよく解った。結局、彼奴の包丁捌きは上達しなかったなぁ。」
迅はそう言いながらも楽しげだ。


「あはは。そりゃ無理ですよ。包丁を握るのは自分の仕事じゃないって言い張る奴ですから。」
「それで許されるから凄いよな・・・。」


「皆、彼奴には甘いもので。ま、たまに全力で厳しくいきますけど。」
侑李は悪戯に笑う。
「そうか。それは面白そうだ。」
二人はそう言って笑うと、眠ることにしたのだった。


侑李たちと合流した翌日。
青藍たちは睦月と師走の二人と合流していた。
「やっと来た。」
「皆さん、お久しぶりで。」
二人はそう言って青藍たちの前に姿を見せる。


本当に一日走ったら、睦月と師走が居た・・・。
青藍は内心で呟いて、蓮を見る。
蓮はそんな青藍の呟きを聞いたように苦笑を返した。


『護衛は流魂街からと、聞いたけど。』
「帰りの分の刺客は回収済みだ。まぁ、まだ出てくるだろうけどな。」
「響鬼が手伝ってくれたんだ。俺たちもあれにあちらこちら連れ回された・・・。あの移動方法は、中々辛いな・・・。」


『・・・なるほど。流石だよ。誰も彼も。』
苦笑する二人の話から色々と理解した青藍は、感心するように言う。
「誰も彼も?」
『いや、何でもない。君たちがそばに居れば、僕は死なないものねぇ。』
首を傾げた睦月に、青藍はのんびりという。


「死んでも生き返らせるからな。」
「そうそう。そんで、死ぬまで働かせてやる。」
二人はそう言って不敵に笑う。
『・・・二人がそう言うと本当にあり得そうで怖いよ。』


「老衰以外で死なせるつもりはないと、言ったはずだが?」
『つまり、君たちは僕より後に死ななきゃならないわけだ。大変だねぇ。年をとっても容赦はしないよ?』
「「望むところだ。」」


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