色彩
■ 19.ひと時の休息@


「「「「えぇ!?」」」」
その後、とりあえず今日は休むことにした面々は、青藍の正体を彼らに話す。
当然のことながら驚きの声が上がった。


「ラン、まじで!?」
『本当です。』
「本当に、朽木家当主・・・?」
『本当に朽木家当主です。』


「え、じゃあ、朽木銀嶺隊長は・・・。」
『僕の曾祖父になります。』
「それで、漣咲夜副隊長が、何だって・・・?」


『・・・漣咲夜は、今、朽木咲夜と言いまして。僕の母上なのです。』
苦笑しながら言った青藍に、迅以外の面々は目を丸くする。


「あの、漣副隊長の、息子・・・?副隊長は、生きていた・・・?」
ケンはそう言って涙を浮かべる。
『はい。訳あって護廷隊を離れましたが、百年の時を経て復帰しております。もちろん、今も元気すぎるほどに健在です。』


「・・・よ、よかったぁ。突然、宗野隊長が亡くなって、それで、副隊長まで行方不明で、十番隊は、大変で・・・。」
言いながらケンは涙を流し始める。
『帰れば、顔を見ることも出来ましょう。きっと、母上は、出迎えてくれます。姿はほとんど変わっていないので、驚かれると思いますが。』


「会える・・・?会えるのか・・・。そっかぁ・・・。俺たち、本当に帰るのか・・・。」
ケンはしみじみという。
『瀞霊廷に着くまで安心は出来ませんが、帰ることが出来ます。僕の仲間がそうさせてくれました。』


「・・・俺は、元六番隊なんだ。隊長と副隊長は、お元気なのだろうか。今はランの父君が隊長だと言っていたが。」
暦は小さく問う。
『曾祖父は、まだまだぴんぴんしておりますよ。・・・祖父は、亡くなりましたが。』


「そうか・・・。副隊長は、亡くなられたのか・・・。」
暦は悔しげに言う。
「あの方は、朽木家の方でありながら、いつも、隊士たちに笑みを見せてくださった。一人一人、名前と顔を覚えてくださっていた。・・・ランは、笑うとあの方に似ているな。」


『よく言われます。僕が生まれる前に亡くなったので、話したことはないのですが。』
「戦いの中で亡くなったのか?」
『そのように聞いております。』
「そうか。出来ることなら、もう一度、会いたかったが。」
暦はそう言って寂しげに笑う。


『ふふ。そう言って頂けると、嬉しいですねぇ。是非、曾祖父にも会ってみてください。年を取った上に責任から解放されたせいか、お茶目さが増しつつあるのですが。暇を持て余しておりますので、世間話にでも付き合ってやってください。』
「あぁ。俺でいいなら。」


『もちろん。・・・それで、迅さんと陵さんは元九番隊ですよね?』
青藍に問われて二人は頷く。
「あぁ。六車隊長と久南副隊長。うちの隊長副隊長も、突然いなくなったが。」
「そうだねぇ。確か、リクの所の平子隊長もだよね?」
「そうだな。死んだという話だったが。」


「へぇ。じゃあ、迅さんと陵さんは俺の大先輩ってわけですね。」
「そうだな。」
「今、九番隊の隊長副隊長って、誰がやっているの?聞いても解らないかもしれないけど。」


「それがですね・・・ふふふ。」
侑李は意味ありげに笑う。
「え、何々?」
そんな侑李に陵は興味津々といった様子だ。


「今、うちの隊長は、その六車隊長ですよ。副隊長は檜佐木修兵って人なんですけど、久南さんも戻って来ていて、スーパー副隊長を名乗っています。」
『ちなみに、真子さん・・・平子隊長も五番隊に戻られていますよ。他の方々も、紆余曲折を経て、戻られました。一部、現世に留まって居られる方も居りますが。』


「「「!!」」」
二人の言葉に、迅、陵、リクは目を丸くする。
『ふふ。帰りたくなりましたか?』


「・・・あぁ。そうだな。」
「お世話になったもんねぇ。」
「俺もだ。」
そう答えた三人に、青藍は微笑む。


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