色彩
■ 14.唖然


「・・・なるほど。一応お聞きしますが、青藍・・・ランが死亡したという報告はしましたか?」
「は・・・?」


「その様子だと、貴方はランが死亡したという報告はしていないとみてよろしいですね?」
「あぁ。そんな報告をした覚えはない。」


「では、やはり、あの報告は嘘ということですね。まぁ、本人ここに居ますけど。」
「どういうことだ?」
蓮の呟きに迅は首を傾げる。


「我々は、四十六室より、ランが死亡したという知らせを受けました。その報告をしたのは部隊長だとお聞きしたもので。一応ご確認を。」
「ランは死んだと、言われたのか?」
「はい。」


「それじゃあ、何故、お前たちは、ここに居る・・・?」
「なるほど。師走さんの言う通りの方のようです。ランが死んだのならば、僕らが此処に来るのはおかしい、と、お思いでしょう?」


「あぁ。ランが死亡したのならば、四十六室が此処にお前らを派遣することはないはずだ。そもそも、四十六室はともかく、お前らにランの安否を知る手段はないはず。ランの元に人が来たのは、睦月と師走という男が二年ほど前に来ただけだ。」


「ところが、我々にはその手段がありまして。詳しいことはお話しませんが。我々は、ランの死亡は虚偽であると知っていた。ですから、ここに居るわけです。」
「だが、そうだとしても、此処に居るのは、おかしい・・・。」


「えぇ。普通ならば、有り得ないことです。でも、残念ながらあのランは普通ではないもので。」
言われて青藍は苦笑する。


『否定はしないけど、普通じゃないのは蓮も同じだからね?』
「はいはい。いい加減自覚はあるよ。だから青藍のそばに居ることが出来るんじゃない。・・・それで、我々は四十六室にあるお願いをいたしました。」


「お願い?」
「えぇ。彼の死亡を信じることが出来ないので、探しに行きたいと。そして、もし、見つけたのならば、彼の忠誠が尸魂界に向けられていることを認め、彼を元の場所に戻す、という約束を取り付けまして。それで、僕らが此処に来る許可が下りたわけです。」


「は・・・?」
「ランの弟が頑張りましてね。まぁ、そうさせてもいいと思えるほど、四十六室には自信があったのでしょう。ランを殺す自信が。己の手下たちが、必ず彼を葬る、という自信があったからこそ、その許可が下りました。」


「そんな、ことが・・・。」
蓮はにっこりというが、迅はそれをありえないと言った様子で見つめる。


「普通ならば、その許可を貰うことさえできません。許可を貰ったにもかかわらず、ここへ来るまでに、僕らも刺客に襲われましてね。僕らが居なくなれば、彼を探しに出て行った者は、結局探し出せずに死亡した、とでもいうつもりだったのでしょう。まぁ、あの程度敵ではないのですが。ご覧の通り、無傷ですし。そして、我々は此処に居ます。まだ安心は出来ませんが、とりあえず、顔を合わせることが出来て良かった。」


「つまり、お前たちは、本当に、ランを迎えに来た・・・?」
「「「「「はい。」」」」」
皆が頷いて、迅は唖然とする。


「そして、もし、ランを見つけたならば、と、ある命令も預かって参りました。こちらを。」
蓮はそう言って書状を取り出して迅に差し出した。
それを受け取って、迅は恐る恐る書状を開く。


相模迅率いる遠征部隊の瀞霊廷への帰還を命じる。
迅は目を見開いて、蓮を見る。


「貴方方にも、我々と一緒に帰還して頂きます。これは、四十六室からの命令です。長年の遠征部隊でのお勤め、お疲れ様でございました。」
蓮がそう言って頭を下げると、侑李たち四人も続いて頭を下げる。
「あの、四十六室が・・・?」


「はい。四十六室は、貴方方の帰還を決定いたしました。・・・四十六室は、これから変わることでしょう。ある方が、何とか、力を尽くして、彼らに、このような決定を下させました。・・・青藍、君の信じた方は、やってくれたよ。」
蓮は嬉しげに青藍を見る。


『うん。そのようだね。後でお礼を申し上げなくては。』
青藍も安心したように笑った。
「この青藍が生きていることによって、貴方方は、全員、正式に、瀞霊廷への帰還が認められました。」


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