色彩
■ 13.席官

『あの方も・・・?』
「うん。だって、青藍、僕らが来るの知らなかったでしょ?でも、あの方がそれを知らないと思う?」
言われて青藍は顔を覆う。


『なにそれ・・・。あの方だって、あの時こちらに来ていたのに・・・。』
「ふふ。まぁ、心配かけたんだから当然だよねぇ。・・・でもね、青藍。僕らは、君の一世一代の賭けに、勝ってもらわなきゃ困るんだよ。だから、迎えに来た。」


「蓮さんの言う通りです!おれなんか、酷いんですよ。祝言挙げて三日後に瀞霊廷出て来たんですから!梨花ちゃん、「ふぅん。そう。行って来れば」って、見送りにも来なかった!!」
紫庵は涙目になりながら言う。


『祝言挙げたの?梨花姫は・・・そういう子だよね。まぁ、おめでとう。』
「ありがとうございます!だから、おれ、もう久世じゃないんです!」
「そうそう。紫庵はめでたく周防紫庵となりました。」
「つまり、これは、青藍の義理の兄の義理の兄、ということ。」
京が紫庵を指さしながら言う。


「これ!?京さん、酷いです!!」
「という訳で、これのことは紫庵と呼んであげてね。紫庵って呼んで欲しいんだって。」
「蓮さんも酷い!!っていうか、それは言わない約束でした!!!酷い!!」
「梨花さんも姫と呼ぶのは止めなさい、だってさ。」
「意外と似たもの夫婦なのかもね。」


『・・・ふふ。あはは!!』
騒がしい五人に、青藍は声を上げて笑い出す。
「青藍さん!?何を笑っているんです!?」


『ふふ・・・。本当に、君たちだと思って。本当に、迎えに来るとは思わなかった。こんなところまで、来てくれるとは、思わなかったなぁ。危ない旅だったろうに。』
青藍は嬉しげに、呟くように言う。


「お前なぁ、俺たちのこと見縊りすぎ。」
「本当だよ!それに、危ないのは青藍の方でしょ!」
「そうそう。まぁ、僕ら、この三年、咲夜さんにみっちり仕込まれたからね。」
「刺客など相手になりませんでした!ほぼ蓮さんのお蔭ですけど!蓮さんが何故夜走ると言ったのかよく解りました!おれは蓮さんの力が怖いです!」


「あはは。お蔭でこんなところまで来ても無傷だよ。全員、流石「席官」でしょ?」
楽しげに言った蓮に、青藍は侑李に目を向けた。
「ふふふ。俺、半年前に、九番隊の第六席になりました!漸く、漸く修兵さんが、俺との約束を・・・。長かった・・・。ついでに瀞霊廷通信の副編集長にもなっちゃったぜ・・・。」
侑李はそう言って涙を拭う仕草をする。


『ふふ。侑李、そっちも出世しちゃったの。』
「そうなんだよ・・・。死ぬほど忙しいんだぜ・・・。ここに来るのだって、修兵さんと一悶着あって・・・。」
侑李はそう言ってため息を吐く。


「あはは。侑李、最終的に檜佐木副隊長脅してここに来たからね。まぁ、その間に僕らもちょっと出世したんだ。実は、僕、十番隊の第三席になっちゃった。」
「それで、空いた八席に僕が入りました。」
「ちなみに加賀美君は五番隊の第五席になりました。」
「それで雪乃は四番隊の第十席になったよ。」
キリトと京の言葉に青藍は目を丸くする。


「まぁ、僕と紫庵は変わらず、だけど、日々進歩中です。ね、紫庵?」
「そうです!おれ、咲夜さんとの稽古の後に、橙晴にボロボロにされているんです!橙晴は鬼ですぞ!!!お蔭でおれ、進歩してますけど!」


「お前のその体力は何処にあるんだろうな・・・。」
「僕も不思議だよ・・・。」
「紫庵、斬魄刀にも吃驚だけどね・・・。」
侑李、京、キリトは苦笑しながら紫庵を見る。


『あはは。流石、紫庵、だねぇ。』
青藍がそう言って笑うと、紫庵は涙目になる。
「は、初めて、名前で呼ばれたぁー!!おれ一人だけ苗字で呼ばれて、信用ないのかと!」


『ふふ。そういう訳では、なかったのだけれど。橙晴の知らないところで君と仲良くなると橙晴が拗ねるでしょ?』
「確かに!!!納得!!」


「納得しちゃうんだ・・・。さて、まぁ、積もる話はあるけれど、このくらいにしておこうか。・・・部隊長は?」
蓮が言うと、ポカンとしていた迅は驚いたように前に出る。
「俺だ。」
そう言って出て来た迅を、蓮はまじまじと見つめた。


[ prev / next ]
top
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -