色彩
■ 6.五人組


「・・・はぁ。先が思いやられるね。もう、「お客さん」が来たようだ。」
瀞霊廷を出てから二刻ほど。
蓮は走りながら呟く。


「伸してきましょうか?」
その呟きを聞いた侑李は蓮に問う。
「いや。流魂街に居る間は、朽木家の情報網が機能してくれる。」
「流石朽木家っすね。」


「あ、一つ霊圧が消えた。後三人。」
「そして朽木家の情報網は恐ろしく速いね・・・。」
「おれたちにも、強い護衛が居ますからね・・・。」
京と紫庵はそう言って遠い目をする。


「あはは。そうそう。心強い護衛が居る。途中までだけど。」
「睦月さんと師走さん、何で途中から居なくなるんですか?」
「帰りの分の「お客さん」を待ち伏せして持ち帰るから。」
「持ち帰る・・・?」
紫庵は不思議そうに首を傾げた。


「その辺は突っ込まないことだよ、紫庵。ちょっと、証人になってもらうだけだし。まぁ、相手が相手だから、縛り上げて吐かせるみたいな碌でもない話しか出てこないけど、聞く?」
そんな紫庵に蓮は苦笑しながら言う。


「いや、蓮さん、それ以上は、いいです・・・。おれ、聞きたくないです。」
「なるほど。そういうことですか。」
「俺、何も聞かなかったことにしよう。」
「うん。僕も何も聞かなかったことにする。」
「あはは。皆流石だよねぇ。」


「それでこの先どうしますか?どうやって行くかは好きにしていいって橙晴が。」
「あぁ、それなんだけど。皆の能力を考えた結果、移動は夜の方がいいかも知れない。」
「夜?夜の方が狙われやすいですよね?」
蓮の言葉に侑李は首を傾げる。


「うん。だからこそ移動は夜だ。昼間走って、夜に狙われると休む暇がなくなってしまう。睦月さんと師走さんみたいに一週間昼夜駈け続けるのは僕らには出来ない。あの二人は異常。」


「え・・・。あの二人、そんなことまでしているんですか・・・。」
「草薙先生は、一体、何者なのです!?おれ、関わっても大丈夫です!?」
「あはは。大丈夫だよ。敵にならなきゃ問題ない。」
「それ、敵になったら問題だってことですよね・・・。」


「まぁ、とりあえず、今日の所は八つ時まで走ってちょっと仮眠してから夜また走ろう。僕の月影は夜の方が効果的というか。京も夜の方がいいよね?」
問われて京は頷く。


「そうですね。僕の荊姫も夜の方が都合がいいですから。」
「まぁ、俺は何時でも変わらないので、何でもいいっすけど。」
「僕も夜で大丈夫ですよ。」
「おれは・・・いつでも?」


「紫庵はちょっと危険物だから技を使うときは一声かけてね。」
蓮は苦笑しながら言う。
「えぇ!?おれ、危険物じゃないですよ!?」
「危険物だよ。一撃で浮竹隊長に始解をさせたという話じゃない。」


「「「え・・・?」」」
キリト、侑李、京は、唖然と紫庵を見る。
「そ、れは、ですね。そんな、事も、あったかも、知れませんが・・・。皆さん、そんな目で見ないでください!」
怯えた目で見られて、紫庵は涙目になる。


「あはは。まぁ、紫庵は強いから安心してよ。僕が保障する。」
「こいつ、何者なんですか?」
「浮竹隊長に始解をさせる・・・?」
「それって、橙晴レベルってこと?」


「橙晴の方が怖いですよ!?」
「まぁ、見たらわかるさ。紫庵が何者かという話も落ち着いたら聞くことが出来るだろう。多分吃驚するだろうけどね。今まで隠していたのが凄いよ。」
悪戯っぽく言った蓮に、紫庵は目を丸くする。


「何で蓮さん、知っているんですか!?青藍さん?青藍さんから聞いたんです!?」
「あはは。違うよ。梨花から聞いたのさ。僕はこれでも梨花の従兄弟だからね。」
「梨花ちゃん・・・。話してもいいけど、何でおれには知らせてくれないのか・・・。」
紫庵は落ち込んだように呟く。


「まぁまぁ、いいじゃないの。・・・しかし、皆どうやらこの速さは余裕のようだ。」
「咲夜さんに鍛えられましたからね。」
「そうだな・・・。俺たちよく生き残ったぜ・・・。」
「でも、紫庵はけろっとしていたよね・・・。」


「そんなことはないですよ!?おれ、咲夜さんに稽古を付けて貰った後、橙晴に殺されそうになりましたもん!!橙晴ったら、容赦ないんです!!苛めです!!酷かった!!」
「あはは。さすが橙晴だ。さて、じゃあ速度を上げようか。青藍が待っている。」
「「「「はい!」」」」


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