色彩
■ 31.帰る場所

「そんな顔をするな、青藍。私は今、幸せなのだから。」
咲夜は青藍の頭を撫でながら言った。
『はい、母上。・・・僕も、母上のことが大好きなんですからね。母上のことが好きな人はたくさんいますからね。』
青藍は涙が零れそうになって、咲夜に抱き着いた。


「うん。ありがとう、青藍。」
咲夜はそれを優しく受け止める。
「ふふ。青藍はまだまだ子供だな。だが、この子は他人の痛みを思って泣けるのだな。いい子に育ったな、白哉。」
「あぁ。」
白哉はそう言って咲夜に抱き着く青藍の頭を撫でる。


『・・・父上も大好きです。』
白哉に頭を撫でられた青藍はそう言って咲夜から離れると白哉にも抱き着いた。
これには、白哉も目を丸くする。
そして、ふ、と笑みを零して、青藍を抱きしめ返した。


「今日の青藍は甘えただなぁ。可愛いなぁ。」
咲夜はそう言って白哉ごと青藍を抱きしめた。
「・・・寂しかったのか?」
『そう、かもしれません。久しぶりに帰ってきて、安心しました。』


「そうか。そなたの帰る場所はこの朽木家だ。それを忘れるなよ。」
『はい、父上。』
青藍はそう言って飛び切りの笑顔を見せた。
ちょっと涙目で鼻が赤くなっているのはご愛嬌である。


「それで・・・ルキア、橙晴、茶羅、起きているのだろう。」
白哉がそのままの状態でいった。
「・・・気付いておいででしたか。」
ルキアはそう言って苦笑して起きあがる。


『姉さま!?』
「兄様が、子どもみたい。」
「違うよ、茶羅。兄様は僕らの兄様だけど、父上と母上の子どもなんだよ。」
『茶羅に橙晴まで・・・。』
青藍はそう言って顔を赤くする。


「ふふふ。皆こっちにおいで。」
咲夜が手招きをすると、双子は競うように咲夜の元へ近寄った。
咲夜は青藍を抱きしめる手を緩めてそこに双子を迎え入れる。
「ほら、ルキアも。」


「「姉さま、早く早く!」」
戸惑っているルキアだったが、双子に呼ばれて咲夜の元に寄って行く。
「はい、皆でぎゅー!!」
「「ぎゅー!!」」


『うわ、ちょっと、母上!苦しいですよ!』
真ん中に居る青藍は苦しげに言った。
そんな家族の様子に白哉は微笑んで、彼もまた、皆を包み込むように抱きしめた。
『もう、父上まで!』
青藍の抗議にも、白哉は楽しげに微笑むばかりで、放そうとはしない。
それを見た青藍は、まぁ、たまにはいいか、と自分も抱きしめる手に力を入れたのだった。



2016.06.25 喧嘩編 完
〜始解編に続く〜
朽木家は仲良し家族です。
咲夜さんが触れ合うことを大切にしているので、他の家よりも家族での触れ合いが多く、それが咲夜さんをはじめとした朽木家の皆に安心感を与えています。
白哉さんも柔らかな表情をするようになって、隊士たちに尊敬されることはあっても恐れられることは少なくなっているのではないかと思います。

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