色彩
■ 24.飼い主とペット


「で、俺たちを試していたってのは、本当か?」
『う・・・。ごめんなさい、本当です。』
迅に問われて、青藍は申し訳なさそうに彼らを見上げる。


・・・叱られた子犬の様だ。
見上げられた五人は、内心で呟く。
そして大きくため息を吐いた。
『ごめんなさい・・・。』
その溜め息に、青藍はもう一度謝罪を口にする。


「・・・まぁ、いい。自分を殺そうとした奴を信じろっていう方が無理な話だよな。」
「そっすね。ランの奴、俺らなんかよりよっぽど用心深いし。」
「眠っている時に刀抜いただけで起きるからな。」
「もはや特技だよな。」
「そうだな。」


「という訳で、今回は大目に見る。だが、次は許さないぞ。部隊長命令。」
『はい!』
迅に言われて、青藍は顔を輝かせる。
それを見た五人は、主人に褒められた犬の様だと、内心で呟く。
その様子を見ていた睦月と師走は、変わらない青藍に苦笑した。


「お前はそういう奴だよな・・・。」
「意外と何処に居てもやっていける奴なんだな・・・。」
「・・・はぁ。何で俺たち、こんな奴のために駆け回ってんだろうな。」
「本当に。何でこんなの主にしちゃったかな・・・。」


遠征部隊でも可愛がられている様子の青藍に、二人はそんなことを言いながらもほっと一息つく。
それから、青藍への用事を果たすために、彼らに声を掛けた。


「はいはい、皆さん。あまりこれを甘やかさないでください。」
「甘やかすと此奴、あざといんで。」
『あざとくなんかないもの!』


「・・・へぇ?これまでお前が何をしてきたか事細かに説明してやろうか?」
「そうだな。この顔を使ってどれほどの奴を騙してきたか、説明してやってもいいが。」
睦月と師走はそう言ってにっこりと笑みを向ける。
『・・・そ、れは・・・だめ、です・・・。』


「そうだろうな。」
「で・・・?」
『ごめんなさい。僕はあざといです。それを利用したことも認めます。だから何も言わないで下さい。』
「「よろしい。」」


「お前ら、どういう関係?」
その様子に迅は首を傾げる。
『「「飼い主とペット。」」』
声を揃えて言われて、迅たちは目を丸くする。


「は?どっちが飼い主?」
『「「僕(俺たち)!」」』
『え、酷い!!君たち、僕のことペットだと思っていたの!?』
「「お前なんかペットで十分だ。この阿呆。」」
二人に言われて、青藍は涙目になる。


『・・・べつにいいもん。帰ったら、死ぬほど働かせてやる。あっちこっち振り回してやるんだから。』
青藍は拗ねたように言う。
「はいはい。帰ったら我が儘くらい聞いてやるよ。だからそう拗ねるなよ。」
「こんなところで文句ひとつ言わないとはえらかったなぁ。」
そんな青藍を宥めるように、二人は青藍の頭を撫でた。


「しかし、やっぱり付けてたか。」
睦月はそう言って青藍の耳飾りを軽く指先で弾く。
「そうだな。そこまで読めるお前が凄い。」
「当たり前だろ。この俺が、この馬鹿を取り上げたんだから。この馬鹿とは生まれる前からの付き合いだっての。」


「お前も大概過保護だよなぁ。・・・まぁ、そのおかげでこいつを見つけることが出来たわけだ。」
『どういうこと?』
そんな二人に青藍は首を傾げる。


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