色彩
■ 18.お前は誰だ


「貴方方?」
『ケンさん、リクさん、陵さん、暦さん。そして、迅さん。隠してはいますが、繋がっていますね?』
確信を持っていわれて、迅は唖然とする。


『書類からは繋がりは見えませんでしたが、この一月、貴方方を見ていて解りました。そうですね、相模迅。』
本名を呼ばれて、呼んだ相手が、かつて、最も慕った、主のようで。
迅は、泣きそうになる。


「理桜様・・・。」
思わず名前を呟いて、顔を伏せた。


『皇理桜。貴方の一人目の主。中央四十六室、六人の賢者が一、皇家の十八代目当主。家臣からの信も厚く、当時の四十六室で改革を行おうとした人物です。腐敗している四十六室の未来を憂いて。しかし、それを恨まれ、他の四十六室の者が、彼の弟、皇紅梅を唆し、皇紅梅の刃によって、彼は命を落としました。』


理桜様が亡くなる瞬間、あの男は笑っていた。
あんな男に俺は、主を奪われたのだ。


『彼の死は表向きには病死として処理され、その後、紅梅が皇家の十九代目の当主となります。しかし、彼のお蔭で、皇家は腐っていくばかり。それが我慢できなかった貴方は、秘密裏に人を集め、彼に刃を向けました。それが叶わず、貴方は遠征隊に飛ばされたのです。』


法によって裁く価値などないと、お前などその辺で野たれ死ねと、言われた気がしたものだ。


「すべて、知っているのか・・・。」
『はい。四十六室の方が、教えてくださいました。』
「四十六室が?彼らが理桜様について語る訳がない。」
迅はあり得ないと言った表情で青藍を見上げる。


『言ったでしょう?貴方への命令は四十六室の一部の者が下した命だと。そして、四十六室には少し痛い目に遭って頂いたと。それで、心を決めてくださった方がございます。四十六室は変わらねばならぬ、と、そう、おっしゃって下さった方が、いるのです。』


「・・・あの、四十六室が?」
『はい。その方も賢者の一人。過去のことを調べるなど造作もありません。・・・皇家の方では、ありませんが。』
「・・・そうだろうな。」


『ですが、あの方は変えてくださることでしょう。あの方は、皇家のことを知り、貴方のことを知った上で、僕をこの部隊に向かわせたのです。貴方なら、僕を、受け入れるだろうとの判断にございましょう。そして、その判断は間違ってはおられなかった。そういう聡明な方が、今の四十六室にはおられます。僕をここに向かわせることに憤りを感じながらも、何とか、僕を救おうと、手を差し伸べてくださっています。』
青藍の言葉に、迅は乾いた笑いを零す。


「お前は、一体、誰だ・・・?四十六室が、手を貸すとは一体・・・。」
問われて青藍は微笑む。
『貴方が僕と一緒に帰れば、すぐに解りますよ。当然、他の四人も一緒に連れて帰るつもりです。皆さんで、よくお考えください。返答は、僕が帰るまでにお願いします。・・・では、僕は寝ます。おやすみなさい。』


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