色彩
■ 16.納得


『ふふふ。十四郎殿が言っていたでしょう。僕の本性を見た、と。』
「せっかくだから見せてやるといいんじゃないか?」
『いや、十四郎殿、軽く言ってくれますけど、霊術院に甚大な被害が。まだまだ扱いが難しいのですよ?』


「ははは。その辺は、俺たちが結界を張るから大丈夫だろう。おーい!朽木!睦月!結界を張るぞー!!」
『・・・僕の意思は無視なのですね。まぁ、いいでしょう。見せるだけですよ。』
「あぁ。見るだけで解るからそれでいいだろう。・・・院生の皆も、よく見ておけよー!これが、卍解だ。」


「皆、準備は出来たか?」
「僕は出来ました。」
「私も完了しました。」
「おれも!」
「俺も完了しました。」
「俺もだ。」
ルキアの問いに四方から声が返ってくる。


「浮竹隊長、準備が整ったようです。」
「そうか。では、行くぞ。」
浮竹はそう言って結界を張る。
ルキアたちはそれを強化するために霊圧を流し込んだ。
巨大な結界が青藍の周りに張り巡らされていく。


「・・・よし!いいぞ、青藍!」
結界が出来上がると、浮竹はそう声を掛ける。
『はいはい。では、行きます。』
青藍はそう言って斬魄刀を構える。


『・・・卍解、火雷大神。』
解号とともに、青藍の霊圧が上昇する。
斬魄刀が砕け散って、青藍の姿を変えていく。
霊圧が風を巻き起こし、雷を呼んだ。
大気が電気を帯び、そこかしこで、電流が流れる。


そして、何よりも目を引くのが、金色の髪に、金色の瞳。
整った容姿も伴って、凄みのある美しさとなっている。
雷を具現化したような姿。
激しく、厳しく、何者も寄せ付けない。
苛烈な、光。


「・・・やはり、恐ろしい。」
浮竹は思わず呟く。
本能が、青藍に恐怖しているようだ。
漣を恐れるように。
ただ一つ、違うのは・・・。


「漣は、自然に溶け込むことはない・・・。」
「?」
その呟きを聞いたルキアは首を傾げる。
「それはどういう?」


「いや・・・。青藍は自然に溶け込むだろう。舞を舞えば、舞っているのが当たり前のように、その場に溶け込む。鳴神の雷も本来は自然のものだ。だが、漣は、違うと、思ってな。」
「なるほど。それは確かに、そうですね・・・。」


「あぁ。そこが、青藍と漣の違う所だ。」
「ですが、白哉兄様と咲夜姉さまが組手をするときは、とても自然なものです。」
言われて浮竹は彼らの組手を思い出す。
確かに、そうだ。


「・・・つまり、青藍の自然さは、白哉のものなのか。」
だから、漣が選ぶのは、白哉なのだろう。
漣が自然で居られるのは、白哉の傍なのだ。
浮竹はそう思って、自分の心がすとん、とその答えに納得したことを感じる。
だから、俺ではないのだ、と。


・・・いや、待て。
それはつまり・・・俺は、今まで、漣が俺を選ばなかったことに納得していなかった?
・・・本当に馬鹿だな、俺は。
辿り着いた答えに、浮竹はなんだか可笑しくなった。

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