色彩
■ 15.降参


「それで、その中から出てきた十四郎さんはあの姿ですけれども。」
「あぁ。あれであの程度とは、隊長とは恐ろしい。」
「いやいやいや!?今は豪紀さんの方が怖いですよ!?何したんです!?」


「俺の能力を知りたそうだったから、使ってみようかと。」
「いや、それはそうなのだけれど・・・。加賀美君、遠慮がないわね・・・。」
「隊長相手に遠慮も何もないだろう。青藍と橙晴の斬撃に加えて浮竹隊長自身の霊圧を乗せたものを超至近距離かつ生身で受けて、あの程度だぞ?一体どんな霊圧をしているのやら・・・。」


『「「「!?」」」』
豪紀の言葉に四人は目を見開く。
「げほ・・・はぁ・・・。俺、もう絶対豪紀の相手なんかしないぞ・・・。徒花とはそういうことか・・・。」
浮竹は疲れたように言いながら豪紀を見た。


「そういうことです。いかがでしたか?」
「・・・死ぬかと思ったぞ、俺は。あれは狡い。」
「まぁ、そうでしょうね。」
「そうでしょうねって・・・。」


「「閉じ込める」というのが徒花の本質ですよ。弾くのではなく、吸収するでもなく、防御でもない。鬼道を放てば鬼道ごと、斬撃を放てば斬撃ごと、使用者諸共閉じ込めます。閉じ込めた中で、鬼道や斬撃が放たれれば、どうなるかはお分かりでしょう。狭い場所で鬼道を放てば自分もまきこまれるのですから。付いた蕾が開かずに散る。故に、徒花。」


『うわ、えげつない能力。相手が強ければ強いほど、有効ってことだよね・・・。』
「何この人。普通にしているけど、すごく怖い人ですね・・・。」
「相手が浮竹隊長で良かったわね・・・。」


「おれ、本当にあの人の義兄にならなきゃならないんです・・・?あんな、あんな怖い人が・・・?」
皆が恐ろしいものを見るように、豪紀に視線を送る。


「なんだよ・・・。お前らだって十分怖いだろう。雷は天を支配するし、風は地上を駆け回る。雨は恵みをもたらすが大雨は洪水を呼ぶし、波は全てを呑み込む。俺の能力なんて、大したことないだろ。お前らみんな予測不能の自然災害だろうが。」


『「「「確かに。」」」』
「いや、納得するなよ、お前ら・・・。」


「ははは・・・。あの五人、敵に回したくないな・・・。」
「そうだな・・・。青藍だけでも、大概なのに・・・。」
その様子をルキアと睦月は少々震えながら見つめる。


「あの浮竹隊長が、あれ程、やられるとは・・・。」
「しかも、加賀美の奴、浮竹さんの霊力の流れを見切ってんだぞ・・・。」
「あぁ・・・。私でも中々掴めていないというのに・・・。」
「「恐ろしい奴らだ・・・。」」
言いながら二人は、自分たちは見学でよかったと、内心で呟く。


「あぁ、もう、やめだ!降参!お前ら、斬魄刀をしまえ。」
『「「「「はい。」」」」』
浮竹に言われて、五人は斬魄刀を鞘に収めた。
「・・・はぁ。お前らの席次を見直すように、隊長たちに言っておく。」
そう言って浮竹は疲れたような表情をする。


『え、僕は三席でいいですよ?』
「お前は・・・そうだろうな。それ以上出世するのは望まないだろう?いや、それより上に行くのもお勧めしないが。色々と面倒なことになりそうだ。」


『ふふ。えぇ。行く気もありませんよ?あ、でも、橙晴が隊長になれば、副隊長になるのも悪くないですねぇ。その時は恋次さんを三席にしてやりましょうかね。』
青藍は楽しげに言う。


「兄様、恋次さんが泣きますよ。」
「それでなくても青藍の方が強いという噂があるのに・・・。」
「え、青藍さん、そんな化け物なんです・・・?だって、阿散井副隊長は、卍解が出来るんですよね・・・?」


「まぁ、そういうことだろ。俺も近くで見たことはないが。」
「えぇ!?じゃあ、青藍さんは、卍解が、出来る・・・?」
『ん?そうだよ?』
「えぇ!?」
青藍に頷かれて紫庵は目を丸くする。

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