色彩
■ 4.反撃


「あんなの狡いだろう・・・。普段の紫庵からは想像がつかない・・・。」
浮竹はため息を吐くように言う。
「え、おれの普段を知っていらっしゃる・・・?」
「そりゃあな。京楽から話は聞いている。お前の父親とも面識があるぞ。」


「そうなので!?いや、それは、父が申し訳ありません!!」
「いや、謝るなよ・・・。確かにお前の父親は少しアレだが。」
頭を下げた紫庵に浮竹は苦笑する。


『あはは!なるほど。まぁ、そうですよねぇ。十四郎殿ならば知って居られても不思議はない。ちなみに僕らの両親も知り合いだよ、久世君。』
「!?」


『まぁ、ほら、僕らの母上は十四郎殿たちと同期だから。知っていてもおかしくないでしょ?だから、君が苛められていると聞いて、母上は三番隊を壊滅させようとしていたわけだけれども。で、母上と仲が良いということは、当然、父上とも面識があるよねぇ。』


「父は何故おれにそれを知らせてくれないのだろうか・・・。酷い・・・。橙晴や青藍さんたちと関わっていることを知っているはずなのに・・・。」
紫庵は遠い目をしながら言う。
「お前、大変だな・・・。」
そんな紫庵に豪紀は気の毒そうな視線を送る。


「う、うぅ・・・。おれは、それすら知らずに、橙晴と、関わったなんて・・・。」
「君は知らないことが多すぎるんだよ。本当に馬鹿なんだから。」
「え、酷いよ、橙晴!っていうか、橙晴は知ってたの!?」
「当たり前じゃない。院生時代に君と友人になったって言ったら、春水さんが教えてくれたよ。春水さんが何かと顔を見せたのはそう言うことだったんだね。」


「えぇ!?何それ!酷い!どうしておれには教えてくれないの・・・。」
『あはは。まぁ、それは後で春水殿に追求すればいいじゃない。ほら、行くよ、橙晴。せっかく十四郎殿が始解したんだ。僕らも本気で行かなくちゃね。』
青藍はそう言って鳴神を構える。


「そうですね。日頃の鬱憤を十四郎さんにぶつけてやりましょう。」
『そうそう。僕ら、いつも苛められているんだから。』
「全くです。」
「いや、今はお前らが俺を苛めているぞ?」


『そうですか?まぁ、行きますよ。・・・一の裁き、春雷!!』
「一之陣、風牙!!!」
二人の斬撃が互いを増幅して、浮竹へと向かっていく。


浮竹は双魚理でその斬撃を吸収した。
そして、すぐにその斬撃が青藍たちに返される。
青藍と橙晴はそれを予想していたために、何なく避けた。


「避けられたか・・・。二人とも腕を上げたなぁ。」
浮竹はそう言って笑う。
『当たり前じゃないですか。十四郎殿が僕らの斬魄刀を知っているように、僕らだって十四郎殿の斬魄刀を知っているんですから!』


「そうです!それに、そんなにこやかに言ったって、僕らの斬撃返しているんですからね!?見てくださいよ、紫庵の袖が焦げたじゃないですか。」
橙晴の言う通り、紫庵の死覇装の袖が焦げて煙を上げていた。


「び、びっくり、した・・・。」
「私も避けることが出来て良かったわ・・・。」
「俺もだ。まさか返されるとは思わなかったな・・・。それならそうと教えて欲しい・・・。」
紫庵、雪乃、豪紀はギリギリのところで避けたらしい。
三人とも若干顔を青くしているが、浮竹はそれでも笑顔である。


「いやぁ、すまん。つい、何時も青藍たちの相手をしているようにやってしまった。」
「俺たちをこいつらと一緒にしないでくださいよ・・・。」
「はは。青藍や橙晴の友人だからこのくらい大丈夫だと思ったんだが。まぁ、避けられたのだからいいだろう。」


「そんな適当な・・・。」
けろりと言い放った浮竹に、豪紀は呆れたように言う。
「しかし・・・斬魄刀を構えているあたり、豪紀はあれを弾き返すことでも出来るようだな?」


「試してみますか?」
「試させて欲しいか?さっきの技をもう一度放ってくれれば、それも出来るだろう。」
浮竹は楽しげに言う。


「・・・まぁ、それはその内。」
「手強いなぁ。青藍が豪紀は手強いという気持ちがよく解った。」
「それはこちらの科白です。浮竹隊長はアレな人だという青藍の言葉が漸く理解できましたよ。怖い人なんですね。そんな顔をしておられるのに。」

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