色彩
■ 2.始解


「いや、それは・・・。」
『「「お相手願えますね、浮竹隊長?」」』
「・・・も、もちろんだとも!みんなでかかって来るといい。」
若干顔色を悪くさせながら、浮竹は頷く。


『流石十四郎殿です。では、私も楽しませて頂きましょうか。・・・本気で。』
「ん?本気・・・?」
楽しげに斬魄刀を手にした青藍に、浮竹は首を傾げる。


「そうですね。僕も遠慮なく攻撃させて頂きましょう。」
「私も楽しませて頂きますわ。」
「俺も楽しませてもらいます。」
橙晴、雪乃、豪紀もまた、楽しげに斬魄刀を手に取った。


「よ、よろしく、お願いします!」
紫庵は浮竹に大きく一礼する。
「・・・あぁ。」
楽しげな面々に、浮竹は渋々斬魄刀に手を伸ばしたのだった。


『では、行きましょうか。・・・火、天に集いて、水、地に集い、雷、天地を結びて裁きを下す・・・鳴神。』
「吹き荒べ、風伯。」


「慈しめ、雨凛!」
「咲き結べ、徒花。」
「馳せろ、青海波!!」


解号と同時に霊圧が上昇する。
刀身のない鳴神。
鋼鉄の扇の風伯。


雨凛はその刃が青く染まり、表面に波紋を光らせる。
徒花は槍のような形状に変化して、その先端の穂は花開く直前の蕾の様に、穂先が割れた。
青海波の刃は波打つようにうねりを繰り返している。
青藍の鳴神が雷を呼び、橙晴の風伯が風を呼んだ。


「青藍と橙晴が喧嘩をしたら、嵐になるよな・・・。雪乃が加わったらもっと大変そうだ。」
『ふふ。そうですねぇ。今から嵐を起こして、十四郎殿にぶつけてみましょうか。』
「「それはいい。」」
悪戯に言った青藍に、橙晴と雪乃は八割方本気で頷く。


「ははは・・・。勘弁してくれ。・・・そっちの二人も、厄介そうな斬魄刀だなぁ。」
「そうでもありませんよ。見たままの槍です。」
「そうは見えないがなぁ。「徒花」という名前も気になる。」
「おれは・・・見た方が早いと思います。」


「実はそれが一番危ない気がするんだよな・・・。」
浮竹は怪しげに紫庵を見る。
「そんなことは、ありません!橙晴の方がよっぽど怖いです!」
「いや、僕も君の斬魄刀の方が怖いと思う。」
「そんなことないよ!?」


『ふふふ。では、とりあえず、一撃ずつ見せましょうかね。当然、的は十四郎殿です。』
「的って・・・。酷いぞ、青藍。」
斬魄刀を構えながら浮竹は不満げに青藍を見る。
『技を先に見せてあげようというのですから、そのくらい我慢してください。まぁ、院生のためという理由が大部分を占めておりますが。』


「酷い奴だよなぁ、お前。まぁ、受けて立とうじゃないか。お手並み拝見といこう。それから、青藍。そろそろ死神として相手をしてくれないか。」
『これからお客様が来るというのに、朽木家当主が当主らしくしていないわけには参りませんでしょう?』


「・・・兄様、それだと普段の兄様が当主らしくないことがばれてしまいますよ。」
「ばれたところで青藍は青藍でしょう。朽木家当主なのは間違いないわ。」
「そうだな。それに、多少阿呆だと思わせておいた方が、貴族からの評判も上がるんじゃないか?お前、今、下から数えた方が早いもんな。」


「え、青藍さん、評判悪いんですか!?朽木家当主なのに?」
紫庵は目を丸くする。
「そうだ。朽木の生まれとこの容姿。朽木家当主故の、その怖いものなしの言動。これを恨まない貴族の方が少ない。梨花姫の方がよっぽど評判良いぞ。茶羅の祝言は無茶苦茶を通したしな。」


「ついでに兄様、姫様方のお誘いを悉くお断りしているからね。」
「そうそう。お蔭で私は今まで何人の姫に苛められたことか。」
「いや、お前はそれを悉く撃退しているだろう・・・。」
しれっとそんなことを言う雪乃に、豪紀は呆れた視線を向ける。


「あら、失礼ね。私だって、苛められて泣かされたことぐらいあるわよ。青藍を狙う方々って、本当に陰湿なんだから!」
「その陰湿さを正攻法で撃退するから凄いよな、朝比奈は。」
「ふふ。豪紀さんの言う通りです。惚れ惚れしますよねぇ。豪紀さんにはあげませんけど。」
「いらんわ。俺にだって妻ぐらいあるっての。」

[ prev / next ]
top
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -