色彩
■ 39.今後の話

「それで、何時公表なさるの?」
『安曇様と十五夜様の品が一週間後に完成するそうだ。だからその日に。祝言はそれから三日後。』
「あはは。早いねぇ。それもわざと?」


『えぇ。口をはさむ間もなく、二人をくっつけます。祝言には朽木家と瑛二さんたちは勿論、周防家にも出席して頂きます。そして、立会人として、漣家、加賀美家、京楽家、朝比奈家にも出席をお願いいたしました。各家から了承を頂いております。まぁ、とりあえず、今ここに居る五人は出席することになるでしょう。』


「・・・ん?ここに居る五人!?おれも!?」
青藍の言葉に紫庵は目を見開く。
「当たり前じゃない。貴方は周防家次期当主たる私の婚約者なのだから。」
「そうそう。それで、僕は既に京楽家から出席しろという文が来た。僕が適任だからね。」
「私は青藍の妻で、茶羅の義理の姉だからな。出席するのは当然だろう。」


『・・・と、いうわけだから、頑張れ、久世君。』
「えぇ!?そんな無茶な!?」
軽く言われて紫庵は頭を抱える。
「まぁ、大丈夫さ。そう堅苦しい面子じゃない。僕も行くから気楽に座っていればいいよ。」


「で、でも、伯父様が居ても、他に、朽木家の方と、漣家の方と、加賀美家の方と、朝比奈家の方と、そして周防家の方が居るわけで・・・。」
「大丈夫だよ。浮竹と卯ノ花隊長だって出席するという話だし。」
『えぇ。快く出席を了承してくださいました。』


「えぇ!?それ、大丈夫って言いません!!」
「大丈夫だ、久世。蓮さんも居る。」
「そうだけど!!!」
「五月蝿いわね。一々騒がないでくれるかしら。貴方は私の隣に座っているだけでいいわ。それも辛くなったら春水様の陰にでも隠れていればいいのよ。」


「ほ、本当?」
紫庵は不安げに梨花を見る。
「えぇ。最初から出来るとは思っていないもの。今のところはそれで許してあげるわよ。」


「それじゃあ、頑張る!」
「その意気よ。当日逃げたりしたら、解っているわよね・・・?」
「う・・・はい。逃げません・・・。」
梨花に睨まれて、紫庵は頷く。


「ならいいわ。・・・青藍様もそれでいいわね?」
『もちろん。久世君は予定外の参加だから、当てにはしていないよ。まぁ、あれだけの面子を証人にするのだから、他の貴族もそう騒げないだろう。茶羅は流魂街に住むことになるしね。』


「そうですの?琥珀庵を瀞霊廷内に持ってくることはしないのね?」
『しない。そうするのは簡単だけれど、それでは意味がない。瀞霊廷の中に居ては、茶羅は自由に飛び回れないからね。』
「でも、流魂街では身を守るのは難しいんじゃないの?」
京楽は心配そうに言う。


『ふふ。その辺は、師走に任せます。彼には今後流魂街に住んでもらうので。』
「えぇ!?そうなの!?」
『彼には連絡係というか、まぁ、そんな感じの役目を任せるのですよ。いつもあちらこちらを駆け回ってもらっているので、これまでとほとんど変わりありませんが。一応、茶羅の護衛も兼任させます。』
「そういうことか。師走君も大変だねぇ。」


『ま、護衛は燿さんの近くに居ればそう必要はありませんし。そう心配しないでくださいよ、春水殿。茶羅も護身くらいは出来ますし、燿さんは母上の指導を受けているので問題ありません。それでも心配だというのなら、春水殿が琥珀庵に通えばいいのです。春水殿が近くに居れば、そう簡単に手出しはされないでしょう。』


「あはは。確かにそうだ。僕らが通っていれば手を出し難くなるね。」
『えぇ。でも、朽木家が直接通うのはアレなので、春水殿や十四郎殿に通って頂けると助かります。他の死神の皆さんにもご協力いただくつもりですが。』
「なるほど。じゃ、僕も七緒ちゃんと浮竹を誘って足繁く通うことにしますかね。」


『ふふ。燿さんの邪魔をしてはいけませんよ?』
青藍は悪戯っぽく言う。
「それは燿君次第でしょ。可愛い僕らの茶羅を連れ去るのだから。僕も浮竹も茶羅の父親気分なんだから。」


『あはは。確かに。十四郎殿は父上よりも渋い顔をしておられました。』
「でしょ?朽木隊長も、よく許したよねぇ。」
『ふふ。その辺の貴族に渡すよりはよっぽどましだ、という父上の判断です。まぁ、そういう訳なので、また暫くご迷惑をお掛けすると思いますが、よろしくお願いしますね。それでは、僕らはそろそろ帰ります。まだまだ、山ほどやることがあるので。』



2016.12.13 玄奘編 完
〜放鳥編に続く〜

紫庵は実は京楽さんの甥っ子でした。
我が道を行く父、一色(絵付師采湧兼京楽家の幻の三男坊)を見て育っているので、割と常識人。
京楽さんの秘蔵っ子で、その実力は席官並み。
浮竹さんとの面識もあります。
玄奘編は、青藍と深冬、そして、橙晴と紫庵が中心でした。
次は放鳥編。
青藍、橙晴に続いて、茶羅が飛び立ちます。


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