色彩
■ 29.隊長たちのお出まし


「せいらーん!!!早く繋げ!!!・・・ん?繋がったのか?」
そんな声が聞こえてきて青藍たちは苦笑した。
『あはは。繋ぎましたよ、母上。十四郎殿に春水殿も居られるようですね。毎度のことながらお手伝いいただきまして、何とお礼を申し上げればよいのやら。』


「はは。俺たちは特に何もしていないぞ。」
「そうそう。頑張ったのは鳳橋隊長と吉良副隊長だよ。全く、三番隊の隊士たちは上官に恵まれているねぇ。」
画面の向こうの浮竹と京楽は楽しげに言う。


『ふふ。自分の隊で同じことが起これば、お二人も同じことをするでしょうに。』
「やだなぁ。僕ら、そんなにいい人じゃないよ?」
「ははは。そうだな」


「浮竹隊長・・・。そこは否定して頂けると、隊士としては嬉しいといいますか・・・。」
深冬は困ったように言う。


「深冬もそこに居るのか。そっちも頑張ったようだな。後で菓子をやろう。偉いぞ!」
「あの、その、ですね、そうでは、なくて・・・。」
「まぁ、いいじゃないか!」
深冬の言葉をスルーして、浮竹は微笑む。


「あはは。豪紀君も例に漏れず巻き込まれているじゃないの。」
「俺は実花に連れてこられたんですよ・・・。」
「あはは。振り回されてるねぇ。実花ちゃんもお久しぶり。」
「お久しぶりにございます、春水様。」


「あら、また美人になった?もしかして、豪紀君と・・・へぶ!?」
京楽の顔面に分厚い本がめり込む。
「・・・ごほん。申し訳ありませんが、京楽隊長は引き取らせて頂きます。」
「い、いひゃいよ、七緒ちゃん・・・。」
京楽は鼻を押えながら言う。


「五月蝿いですね。公衆の面前で不適切な発言をしようとしないでください。毎日毎日その日の仕事に手が付けられないくらい書類が溜まっているんです!用が終わったのならば、帰りますよ!」
「そんなぁ・・・。これからが面白いのに・・・。浮竹、咲ちゃん・・・。」


「「自業自得だろう。」」
「うわ、二人して酷い。せいらーん。助けて・・・。」
『あはは。残念ながら僕の手はそこには届きませんねぇ。』


「・・・春水・・・いい加減真面目にやらんか!」
画面に近付いて青藍に助けを求める京楽の脇腹を杖でど突きながら元柳斎が姿を見せる。
「痛いじゃない!!!山じい、馬鹿じゃないの!?それでなくても馬鹿力なのに!!」


「ほう?まだ足りぬか?」
京楽の言葉に元柳斎は再び杖を振り上げる。
「ひ!?」
京楽は慌てて距離を取った。


「あはは。京楽は学習しないなぁ。」
「はは。いつものことだろう。」
「まぁ、そうだな・・・。山じいもいい加減引退すればいいのだ。」


「何か言うたか・・・?」
ぼそりと呟いた咲夜に、元柳斎は鋭い視線を向ける。
「な、なんでもないぞ?空耳だ、空耳!・・・地獄耳。」
視線を向けられた咲夜はそう言って浮竹の後ろに隠れる。


「・・・なぁ、漣?そう言いながら俺に隠れるの、辞めないか?俺は元柳斎先生と白哉に殺されそうなんだが・・・頼むから袖を離せ!俺を死なせたいのか!?見ろ、白哉が斬魄刀を持っているぞ!?うわ、元柳斎先生!?杖を振り回すのはやめて下さい!・・・痛い!!!」


「あはは!浮竹がげんこつされた!あー、可笑しい。」
杖に続いて飛んできた拳を避けきれなかった浮竹を指さしながら、咲夜は笑う。
「ほう?私から目を離すとは余裕だな、咲夜?」


「にゃ!?」
白哉が咲夜の後ろから現れて、彼女の襟首をつかむ。
「び、白哉・・・。」


「そなたは何度言えば解るのだ?京楽には学習能力が見いだせないが、そなたはあれより酷い。」
「いや、そういう朽木隊長の方が酷いと思うよ、僕は・・・痛い!!痛いってば、山じい!」
収集がつかなくなっているらしい一番隊舎の映像に、青藍は溜め息を吐く。
卯ノ花もまた、画面の向こうで呆れた微笑を浮かべている。


『・・・そちらは何やら大変なことになって居られるようですね。ですが、隊士たちが付いていけていないので、そろそろおやめになられては?護廷十三隊の隊長たちが阿呆だと知れ渡ってしまっては隊の業務が滞りましょう。それでは皆さんお困りになるのでは?』
青藍に言われて、隊長たちは動きを止める。


『まぁ、一部、それでなくても仕事をしない方がいらっしゃいますが。春水殿とか春水殿とか春水殿とか。』
「僕だけ!?鳳橋隊長だって、良くサボっているの見かけるよ!?」
『そういうことじゃないんですよ。早くお静かにしてくださいと申し上げております。私も皆様もそうお暇がある訳ではないのですから。』


ひやり。
冷たい笑顔でそう言われて、画面の向こう側の隊長たちは静かになる。
ついでに言えば、画面のこちら側の者たちは凍りついた。
しん、と沈黙が降りる。


『漸く静かになったようですね。何よりでございます。では、本題に参りましょうか。総隊長から、三番隊への処罰を発表して頂きましょう。』
にっこりと微笑んだ青藍に、皆が背筋を伸ばした。

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