色彩
■ 23.一族の咎

「青藍、心配したのだぞ!馬鹿者!!いつもいつも、無茶をしおって!!!」
「ほんと、兄様は私たちに心配ばかりさせて。兄様に何かあれば、私たちが悲しむことをお忘れでしょう!!兄様の馬鹿!!もっと、自分を大切にしてください!!」
ルキアと茶羅はそう言いながら青藍たちに抱き着く。
『ルキア姉さま。茶羅。』


「あまり、心配を掛けるな、馬鹿者。」
白哉はそう言いながらも青藍の頭を撫でる。
『ごめんなさい。父上。』


「そうそう。まったく、御嬢さんの体が光り出した時はどうしようかと思ったぞ・・・。」
「私の体も突然光り出して、恋次などは阿呆面を晒していたではないか。」


「それ、連動するんだね・・・。」
「そのようですね・・・。」
師走と白哉の言葉に京楽と七緒は苦笑する。


「俺は心臓を掴まれている青藍を見て、心臓が止まるかと思った・・・。思わず「あれ」の発動の準備をしちゃっただろうが。」
「それは駄目だろ・・・。俺は暴走しかけているお前らを見て心臓が止まるかと思ったぞ。」


「皆さん、目が本気でしたもんね・・・。」
「僕、トラウマになりそう・・・。暫く夢に出てくるよ、これ・・・。」
「そうね・・・。」
「そうだな・・・。」


「・・・うわ、痛い!!気持ち悪!!目が、回った・・・。」
突然空間が開いて、橙晴が転がり出てくる。
続いて十五夜、響鬼、安曇が姿を見せた。
「橙晴、何を転がっておるのだ?」
転がる橙晴を見て、安曇は首を傾げる。


「貴方が僕から手を離したからです!!!」
「わざと離したわけではないぞ。私の握力が限界を迎えたのだ。」
「非力すぎます!!!というか、貴方方は毎回こんな気持ち悪いことしているので!?何故そんなに平然としておられるのか・・・。あぁ、気持ち悪い・・・。」
橙晴はそう言いながらもふらふらと立ち上がる。


「あはは。貴重な体験ってことで。迎えに行ってあげたのだから、いいじゃないか。一人だけ任務で駈けつけられないとは仲間外れのようで可哀そうじゃないか。」
軽く言った十五夜に、橙晴は溜め息を吐いた。
「こんな、目に遭うなら、遅れていった方が、ましです・・・。」


「橙晴様、爺どもに遊ばれて可哀そうですねぇ。まぁ、それはそれとして。・・・皆様、青藍様からお離れ下さい。術の綻びをお直しいたします。」
響鬼に言われて深冬たちは青藍から離れた。
『響鬼・・・。』


「失礼いたします、青藍様。」
そう言って響鬼は青藍の袷を広げる。
心臓を中心に紋様が浮かび上がったままである。
響鬼はそこに手を当てて、小さく何かを呟く。


「・・・我と契約せよ。我に誓約せよ。その身に宿るは我が魂・・・我が呪いは我が加護なり・・・。」
言霊と共に響鬼の手から光が漏れて、青藍の胸の紋様に流れ込んでいく。
光が紋様に行き渡ると、大きく光って、すう、とその紋様が消えていった。


「ふむ。これでいいでしょう。・・・我らが愛し子は本当にこのようなことばかりで申し訳ありません。お辛いのならば、すべてを忘れ去ることも可能にございます。その場合は、今ここに居る方々全員の記憶を消させて頂くことになりますが。・・・如何いたしましょうか?」
響鬼は青藍にだけ聞こえるようにそう言って青藍の額に手を当てる。


『・・・いいえ。その必要はありません。僕は、これを背負うと決めました。苦しみ、痛みを感じて、己の定めを恨むこともありましょう。ですが、それだけではないのです。僕が愛し子であるからこそ、出会うことが出来た者たちがおります。その者たちと出会ったことで、得られた幸せもあるのです。ですから、僕は、これを引き受けます。』
響鬼の手を自分の額から外して、青藍は静かにそう言った。


「そうですか。ならば見守りましょう。それしか出来ない、私どもをお許しください。」
『見守って頂けるだけで、十分です。』
「引き受けてくれたこと、お礼を申し上げます。・・・我が愛し子に祝福を。」


「咲夜・・・いや、咲夜様。この度は、大変申し訳ありません。これは我ら一族の咎。貴女を苦しめ、傷つけ、闇を育ませたのは、我が一族の者。その上、貴女様のご子息もそれを知ったことで苦しんでおります。一族の長として、謝罪を申し上げます。」
安曇はそう言って、咲夜に深々と頭を下げた。


「それは、一体、どういう、事だ・・・?」
咲夜に問われて、安曇は奥歯を噛みしめる。
そして、顔を上げた。

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