色彩
■ 10.席官の仲間入り

「・・・・・・どうしよう。引き受けちゃった。」
冬獅郎の背を見送って、キリトは困ったように呟く。
その呟きに皆が噴き出した。
『ふふ。引き受けちゃったからには、やらなきゃねぇ?』


「うわ、どうしよう、青藍!?僕に出来るかな!?ねぇ、どう思う!?」
キリトは青藍に詰め寄る。
『あはは!大丈夫さ。僕が保障するよ。』
「ほんと!?」


『うん。きっと、京も引き受けるだろう。一人じゃないから、大丈夫だよ。冬獅郎さんも、乱菊さんも君を歓迎してくれる。何より、十四郎殿とルキア姉さま、母上が君を認めているんだ。いつも通りにやればいいのさ。同じ席官となることを楽しみにしているよ、キリト。』


「・・・うん。そうだね。ありがとう、青藍。僕、頑張るよ。」
キリトはそう言って笑う。
「浮竹隊長、朽木副隊長、咲夜さん、深冬ちゃん。あと二週間、よろしくお願いします。多分、十番隊に行ってからもお世話になることと思いますが。」


「あぁ。寂しくなるが、頑張るんだぞ。」
浮竹はそう言ってキリトの頭を撫でる。
「はい!」
「私は遊びに行くからな。」
「ふふ。相変わらずですね、咲夜さん。」


「活躍を期待しているぞ。」
「はい。副隊長。」
「キリトさん、頑張ってください。」
「ありがとう、深冬ちゃん。頑張るよ。」


『ふふ。さて、燿さん。』
「なんだい?」
『注文をひとつ・・・いや、二ついいですか?』
青藍は悪戯っぽく言う。
「もちろん。」


『キリトと京へお祝いの菓子を二週間後に届けてください。中身はお任せします。』
「畏まりました。」
『ふふ。あと、僕のために、いつもの苺大福を10個ほどお願いします。』
「それからプリンだ!安曇が言っていたのだ!バケツプリンがあると!私もそれが食べたいぞ!あとルキアと睦月に白玉入り最中だ!白哉には激辛七味煎餅だな。」


「はい。ご用意いたしましょう。そちらは明日にでもお持ちいたします。」
燿はそう言って微笑む。
「ははは。燿も大変だなぁ。」
「そうでもありませんよ。美味しいと言っていただけるだけで、俺の力になりますから。」


「そうか。俺も、何時もの玉露が欲しい。頼めるか?」
「畏まりました。明日、一緒にお持ちします。・・・そうそう。青藍君。」
燿は思い出したように言う。
『何ですか?』


「新作を考えるのに、茶羅を借りてもいいかい?あと、師走さんも。彼らの発想は中々有意義でね。師走さんの科学的知識も非常に有難い。菓子作りは化学反応でもあるから。」
『ふふ。いいですよ。お好きなだけお使いください。あ、もちろん泊まり込みは駄目ですけど。』
青藍の言葉に燿は苦笑する。


「解っているさ。そんなことをしたら、白哉様に何といわれるか・・・。」
『父上は、手を出すな、と、言っただけです。手を出さない自信があるのならば、泊まり込みでもいいですけど?』
青藍は意地悪く言う。


「燿さんも朽木隊長の被害に・・・。完全に面白がっていますよね・・・。」
キリトは気の毒そうに燿を見る。
「白哉様は燿さんにも意地悪を・・・。」
「あはは!流石白哉だ。というか、進展があったのか。まぁ、大変だなぁ、燿?」


「ははは・・・。お許しは頂いたのですが、手は出すなと言われてしまいまして。」
『ふふ。父上は意地悪ですからね。で、どうしますか?』
「・・・遠慮しておくよ。俺も男だからね。」
『ふふ。賢明です。それじゃ、そういうことで。僕はそろそろ戻ります。』
青藍がそう言うと、皆が仕事に戻るために動き出したのだった。


それから二週間後。
キリトと京は十番隊の席官となった。
任官式はさらに二週間後ではあるが、キリトは十番隊に移り、冬獅郎の元で席官としての仕事を果たすべく京と頷き合った。


隊士たちへの挨拶を終え、執務室に戻ってきた彼らの新しい机の上には菓子箱が一つずつ。
見れば、送り主は青藍である。
二人は嬉しげにそれを見て、席へとつく。


『お、もう居たのか。』
「あら、そうみたいね。」
「いいなー。席官。」
「お前らも席官か。頑張れよ。」
そこへ青藍、雪乃、侑李、修兵が入ってきた。


「「檜佐木副隊長!」」
「おう。久しぶりだな。席官への昇進、おめでとう。」
立ち上がった二人に、修兵は片手を上げてそう返す。


「僕、頑張りますね!」
「僕も頑張ります。相変わらず、松本副隊長の捕縛要員なのですが。」
「はは。そうか。そりゃ大変だな。」
修兵はそう言って笑う。


「青藍。これ、ありがとう。」
「いつも何かと貰っちゃって。」
『構わないさ。いつもお世話になっているからね。』
礼を言う二人に青藍は微笑む。

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