色彩
■ 7.舅がたくさん

『その途中で燿さんが来たものだからひやりとしました。慶一殿もいらしているのに。』
「はは。俺は慶一伯父様と似ているからね。」
燿は苦笑する。


『本当ですよ。慶一殿はそれを隠すためにさっさと退散したのでしょうね。それまでは僕と橙晴で遊んでいたというのに。秋良様と二人で、楽しそうに。』
青藍は不満げだ。


「あの方たちも他人で遊ぶのが好きだからなぁ。」
「そうですね・・・。」
そんな青藍に、浮竹とルキアは苦笑する。


「他人で遊ぶのが好きなのは青藍も負けてはいませんけどね。」
「キリトさんの言う通りです。青藍は、いつもそうやって、面白がっているのだ・・・。」
『あはは。まぁ、面白いからね。』


「それにしても・・・。」
深冬はそう言って青藍をまじまじと見つめる。
『ん?何?』
そんな深冬に青藍は首を傾げた。


「何か、いいことがあったのか?疲れたと言っていた割には、機嫌がいい。」
深冬の言葉に青藍は目を丸くする。
そして吹き出すように笑った。
『うん。とってもいいことがあったんだ。ね、燿さん?』


「そ、うだね・・・。俺は、何というか、条件があるけどね・・・。」
燿は複雑そうに頷く。
『ふは。それは仕方がないでしょう。あの程度で済むのですから、燿さんは幸運ですね。』
「まぁ、それは、確かにそうだけれど。」


「何の話なのだ?」
ルキアは首を傾げる。
『ふふ。燿さんが、ついに、覚悟を決めたのですよ、ルキア姉さま。』
「ほ、本当か、燿!?」
青藍の言葉にルキアは目を輝かせて燿を見つめる。


「ルキアさんまで知っているのか・・・。まぁ、そういうことになるかな。白哉様にも聞かれてしまって。」
「に、兄様は何と?」
「頼む、と。」
そう言って微笑んだ燿に、ルキアは目を丸くして、それから笑顔になった。


「そうか。良かったな、燿。」
「ありがとう。覚悟が決まったから、これから捕まえようかと。」
「燿さん、格好いいですねぇ。」
キリトは楽しげに言う。


「キリト君まで知っていたのか。それじゃ、侑李君や京君も知っているのかな。」
燿は困ったように言う。
「はい。雪乃も咲夜さんも、深冬ちゃんも皆が知っていますよ。蓮さんだってどうなるのか楽しげでした。」


「そうか。それは、皆さんをやきもきさせたようで。」
燿は苦笑する。
「白哉兄様まで認めるとは、一体、何をしたのだ?」
「朽木家の当主に、覚悟をお示しいたしました。ね、青藍君?」
『ふふ。そうですね。燿さんったら、格好いいんだから。』


「お前ら、一体、何の話をしているんだ・・・?」
皆の会話を聞いて、浮竹は首を傾げる。
『十四郎殿は知らないのでしたね。・・・茶羅の話ですよ。燿さんと茶羅は両思いなのに、燿さんが知らない振りを続けていたのです。で、漸く、前に進みそうなのです。』


「え・・・?」
浮竹は目を丸くして燿を見る。
「はは・・・。」
そんな浮竹に燿は苦笑した。


「それは・・・本当、なのか・・・?」
「・・・はい。」
「・・・・・・えぇ!?」
雨乾堂に浮竹の驚きの声が響く。


「・・・ちょっと、待て。青藍、そうなると、どうなるんだ?」
『どうもこうもありません。茶羅は、朽木家から出ていくでしょうね。』
「そんな簡単に言うなよ・・・。」
さらりと言った青藍に、浮竹は呆れたように言う。


『確かに、色々な問題はあるでしょう。ですが、茶羅の道です。僕らがどうこう言っていいことではありません。茶羅は、僕などよりずっと強い。だから、大丈夫です。僕は、茶羅を信じます。父上も、それを解った上で、頷きました。』


「燿は、それでも、茶羅を引き受けるのか?」
「はい。そう覚悟を決めました。幸い、青藍君と白哉様の許可を頂くことが出来ましたからね。もう、迷いません。」
燿はそう言って微笑む。


「そうかぁ。俺たちの可愛い茶羅が・・・。」
浮竹は複雑そうに言う。
『あはは!十四郎殿、父上より苦い顔をしていますねぇ。』
「だって、茶羅だぞ?俺も京楽も、自分の娘のように思っているのに。京楽はこれを聞いたら泣くぞ。」


『ふふ。きっと、十五夜様も騒ぐでしょうから、燿さんは苦労しますねぇ。五月蝿い舅が沢山居るようなものですから。まぁ、それも茶羅を手に入れるための試練です。頑張ってください。』
「それはもちろん。」

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