色彩
■ 26.月の宴G

「で、この安曇も厄介だ。その娘である深冬もな。まぁ、深冬は青藍や安曇に巻き込まれている、と言うのが正しい場合が多いがな。」
「否定できないな・・・。」
咲夜の言葉に安曇は複雑そうに言う。


「そしてルキアも私たちに徐々に毒されている。最近は血の繋がりがないことが不思議なくらいだ。」
「はは・・・。咲夜姉さまたちと一緒に居る時間が長くなってきましたからね・・・。」
ルキアは苦笑する。


「まぁ、一番厄介なのは白哉だな。あれは、霊妃も吃驚の規格外だ。」
「規格外・・・。」
「そう不満げな顔をするな。残念ながら事実だが。霊妃は最初、白哉が愛し子だと思ったらしい。青藍が生まれてからもそれに気付かなかったくらいだ。」
『僕も突然愛し子だとか言われて驚きましたけどね。』


「そういう訳で、君たちが関わっているのは厄介者ばかりなのだ。まぁ、君たちも厄介者になりつつあるようだがな。だが、私たちは君たちを歓迎しよう。実花も・・・豪紀もだ。」
咲夜に名を呼ばれて豪紀は目を丸くした。
そんな豪紀の頭を咲夜は遠慮なく撫でる。


「この先、君が光を見失うことが無いように、私たちは傍に居ようではないか。なぁ、皆。」
「あはは。そうだね。豪紀君、中々面白いし。」
「そうだなぁ。青藍に振り回されるのは大変だろうから、たまには俺たちも豪紀と一緒に振り回されてやろう。」


「私もお話を聞くぐらいのことは出来ますよ。」
「当主と言う立場故に、迷うこともあろう。そういう時は私や青藍を頼るといい。一人で抱えては、潰れ行くだけだからな。」
「俺も愚痴ぐらい聞いてやるぞ。それから、怪我も治してやる。死ぬほど辛いだろうがな。」


「・・・皆さん、ありがとうございます。」
豪紀はそう言って彼らに深々と頭を下げる。
「よし。この話はもう終わりだ。」
『ふふふ。今日はもう遅いですから、皆様にお部屋をご用意いたしましょう。加賀美君と実花姫も泊まっていくといい。何なら一緒の部屋にしてあげるけど。』


「「!?」」
『あはは!冗談だよ。ちゃんと別に部屋を用意するから安心して。』
「・・・青藍様ったら、本当にアレな人よね。別にいいわ。深冬様、今日は一緒に寝てくださらない?」
『えぇ!?それ、狡くない?』


「知りませんわ。青藍様は豪紀様と仲良くなさればよろしいのよ。ね、深冬様。」
「そうだな。たまにはそれもいいかもしれない。」
『そっちがその気ならこっちにだって手があるんだからね!・・・加賀美君。』
「何だ?」


『僕らは仲良く二人の部屋に忍び込もう。』
「は?」
豪紀は青藍の発言に唖然とする。
『え、だめ?』
青藍はそんな豪紀にきょとんとした表情を向ける。


「駄目に決まっているだろう。・・・お前、本当の馬鹿か。」
『え、酷い。いい案だと思うのだけれど。』
「何故そう思うことが出来るんだ・・・。」
豪紀は呆れたように言う。


「ふふ。それじゃあ、私も深冬たちと寝ることにしよう。」
「咲夜・・・。」
楽しげに言った咲夜に、白哉が複雑そうな顔をする。
「たまにはいいだろう。もちろん、ルキアもだ!烈さんも一緒に寝ますか?」
「あら、それは楽しそうですね。」


「あはは。じゃあ、男性陣も一緒に寝ようじゃないか。ねぇ、浮竹?」
「はは。そうだな。安曇様もどうです?」
「うむ。悪くない。白哉も連れていこう。」
「私は遠慮する・・・腕を離せ、安曇。」


「嫌だ。よし。青藍、部屋を準備しろ。」
『はいはい。安曇様、楽しそうですねぇ。睦月も巻き込むからね。』
「そういうと思った。」
「・・・俺、今日眠れるのだろうか。」
豪紀の呟きは誰の耳に届くこともなく消えていったのだった。

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