色彩
■ 12.同窓会J

「そういえば、青藍、朽木家の生まれだということを隠していたけれど。まぁ、一回生の内にばれたけど。目立ちすぎだよね、青藍。」
「そうですね。橙晴は、六回生になるまで誰も気が付きませんでしたが。あれだけ白哉様に似ているのに・・・。」
何故気付かなかったのだろうかと、深冬は不思議そうだ。


『ふふ。橙晴は、僕などより手強いよ、深冬。橙晴は茶羅と一緒にあちらこちらに潜り込めるくらいには人格を偽るのが得意だよ。変装も出来るしね。』
「茶羅様ったら、この間、楼閣の下働きとして潜り込んでいたのよ?信じられないわ・・・。」
実花はあり得ないと言った表情だ。


『あはは!流石茶羅だよねぇ。』
「いや、それは流石に止めろよ・・・。」
笑う青藍に豪紀はあきれ顔だ。


『僕が止めたところで、言うことを聞くような子じゃないんだよ。』
青藍は苦笑する。
「加賀美家に忍び込んできたこともあるのだ・・・。あれは心臓に悪かった。」
深冬が思い出すように言う。


『それは悪かったね。』
「本当だぞ・・・。青藍が私に興味を持ったという話を聞いた茶羅がごねたらしく、橙晴とやってきたのだ・・・。それも畳の下から現れたのだぞ?」
「は?」
深冬の言葉に豪紀は唖然とする。


「・・・いや、待て。どういうことだそれは。」
豪紀はじろりと青藍を見る。
『あー、うん。それは僕のせいかも。』
青藍は気まずそうに言う。


「・・・何故お前がそれを知っている?」
『「それ」とは、加賀美邸の仕組みのことかい?』
青藍の言葉に豪紀は頷く。
『・・・まぁ、それは、あれだよ。うん。色々と。』
じとりと見つめられて、青藍は目をそらしながら言う。


「おい。お前、うちの邸で一体何を企んでいるんだ?」
『あは。企んでなんかいないよ?ちょっと、僕の目と耳が、そこに行き届いてしまったというか・・・。今はもう大丈夫だよ。色々と調べるのに、ちょっとお邪魔しただけだから。』


「色々って何だよ!?勝手にお邪魔するな!!!」
『色々は色々だよ。まぁ、ほら、知らない方がいいこともあるよね。』
青藍はそう言って遠い目をする。


「青藍・・・。不法侵入だぞ・・・。」
深冬は呆れたように言う。
『別に加賀美家を調べたわけではないのだけれどねぇ。』
「それで何でうちの邸に来るんだよ・・・。」


『通りすがりというか、調査対象が加賀美邸に近付いたというか。まぁ、その際、加賀美邸の仕組みを発見してしまったということだよ。で、その仕組みを解読しながら調査対象を追いかけたという訳だ。その方が効率的だという判断をしたからね。その時の資料を茶羅が偶然見つけてしまったらしい。茶羅たちが加賀美邸に侵入したのは僕のミスだ。それは謝るよ。悪かった。』
青藍はそう言って軽く頭を下げる。


「・・・信じらんねぇ。朽木家はあれを踏破したのか・・・?」
『おや、その様子だと、君はあれに詳しいらしい。』
「当たり前だ。俺を誰だと思っている。」
『あはは。そうだったね。ま、実際に踏破して正確な図面を作成したのは師走だよ。その図面の管理を師走がしていたから茶羅がそれを目にすることになったのだけれども。』


「図面だと・・・?」
豪紀は信じられないと言った表情で青藍を見る。
『あ、心配しなくていいよ。図面は既に廃棄した。というか燃やした。必要なくなったし。ま、ああいうものは何処の貴族の邸にもあるものだから、そう驚きはしないけれど、加賀美邸のものは難解だったみたいだね。師走が言うには三回ぐらい死にそうになったとか。』


「踏破して三回かよ・・・。」
『「中々面白かった。」という報告もあったよ。』
「あれが面白いって、あの草薙師走とかいう男、何者だよ・・・。」
『朽木家の護衛だよ。それから医者兼研究者。睦月の兄でもあるけれど。ああいう仕事は睦月より師走の方が適任だ。あの男は普段適当だけれど、中々食えないやつなのさ。』
青藍は楽しげに言う。


「睦月さんも謎だけど、師走さんってもっと謎だよね。茶羅ちゃんの護衛やっているかと思えば、四番隊で治療していたり、十二番隊で何かやっていたり、流魂街に出没したり。」
キリトが不思議そうに言う。


「確かに。この間琥珀庵で茶羅と一緒にお菓子作りに励んでいたぞ。燿さんが器用だと褒めていた。」
「それは色々と下心あってのことよ。ね、青藍様?」
実花は楽しげな瞳を青藍に向ける。


『あはは。よく御存じで。茶羅から聞いたの?』
「えぇ。深冬様もご存じでしょう?」
「あぁ。待ち人があるのだろう。」
『そうそう。まぁ、僕がそのために行かせているのだけれども。』

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