色彩
■ 11.同窓会I

「・・・青藍の、ばか。本当に、ずるいぞ・・・。」
深冬はそう言って赤い顔を隠すように青藍に凭れ掛かった。
『ふふ。それでも君は、僕を選ぶのだから、可愛いよねぇ。』
「深冬様もこんな人に愛されて大変ね・・・。青藍様も大概だわ。」


『それは君だってそうじゃないの?君と加賀美君の婚約には少なからず君の意思が組み込まれているらしいじゃないか。』
「!?」
楽しげにこそこそと言った青藍に、実花は驚いた表情をする。


『八重殿と気が合ったというだけじゃあ、ないのだろう?』
「な、ど、それは・・・。」
実花は珍しく口籠る。
「何の話だ?」
豪紀は不思議そうに言う。


『あはは。加賀美君も罪な男だよね。鋭いくせに自覚がない。いや、この場合、自覚をしているくせに鈍いのか。』
「なんだそれは?」
楽しげな青藍に、豪紀は首を傾げる。


「青藍様。一体それは、何処から・・・?」
実花は恐る恐るといった表情で青藍に聞く。
『そりゃあ、慶一殿じゃないか。まぁ、梨花姫も気付いているようだけれど。慶一殿、楽しそうに教えてくれたよ?』


「お父様・・・。口が軽すぎるわ・・・。」
微笑む青藍に、実花はそう呟いて頭を抱える。
『ふふ。だって、僕、慶一殿と仲良しだもの。それにしても意外だよねぇ。あの実花姫がねぇ?』
「な、何よ・・・。」


『いや?まぁ、いい趣味だとは思うよ。僕が保障する。』
「青藍様の保証なんていらないわよ!そんなの私が一番よく解っているのだから!」
『あはは!実花姫、それ、どういう意味か解って言っているの?・・・まぁ、どちらにしろ、これから楽しいなぁ。』


「青藍様!!余計な手は出さないのよ!」
『当たり前じゃない。君がどうやって手に入れるのか、僕は楽しく観察させてもらうよ。君が僕たちのことを楽しく観察していたようにね。』
「青藍様ったら、本当に意地が悪い。」
笑う青藍に、実花は唸るように言う。


『はは。褒め言葉だね。』
「最低!!」
『君だって僕たちに同じことをしたのだから、お互い様という奴だよ。その上、僕らの邪魔までしてくれたからなぁ。僕らの時間を邪魔されて、僕が何もしないと思う?僕がやられっぱなしでいる性分じゃないことは君もよく知っているはずだよ。』


「鬼!悪魔!いつもそうやって楽しんでいるのね!?」
『楽しんでいるのは、僕だけじゃないよ。慶一殿や梨花姫、茶羅だって楽しんでいる。あぁ、それから、八重殿も、かな。ま、頑張ることだね。』
そう言って笑う青藍に、実花は悔しげに沈黙したのだった。


「皆、青藍に振り回されているね。」
「そうみたいだ。かくいう僕らもその中に入っているのだけれど。」
「そうだな。ま、仕方ないんじゃねぇの。青藍だし。」
「「確かに。」」
三人はそういながら笑う。


「それにしても、青藍、隠すのやめたわけ?」
『隠す?何を?』
「深冬さんへのあれこれ。色々と駄々漏れだし、さっきから抱きしめちゃっているけれど。」


『あはは。こう見えて、僕ら夫婦だし。皆、僕に幻想を抱いているようだけれど、僕だって男だよ?深冬限定だけれど、俗な欲などいくらでもある。』
そう言って青藍は妖艶に微笑む。
「せ、青藍!!!余計なことは言わなくていい!!!馬鹿なのか!?馬鹿なのだな!?」
抗議するように言った深冬に青藍は楽しげに笑う。


「・・・青藍に妙なファンが居る理由が解った気がする。」
「そうだね。この人、性別関係なく落とす系の人だわ・・・。」
「吃驚した・・・。」
キリトはそう言って胸のあたりを擦る。


「青藍、そういう顔はあまりするなよ。余計な輩が増える。」
「うん。僕らはいいとしても、周りを見てみなよ。」
「皆赤い顔しているよ。その上、今の青藍の姿は狡いよ・・・。」


『ふふ。当然、場所を選んでいるさ。誰彼かまわず見せてあげたりしないよ?』
青藍は悪戯に笑う。
「深冬様、大変ね・・・。ああいうのを悪魔っていうのよ・・・。」
「そうだな・・・。あれを相手にしている深冬は凄いな・・・。」

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