色彩
■ 9.同窓会G

『うわ、辛辣。・・・そう言うこと言っていると、君たちの想い人または婚約者または夫をここに召喚しちゃうんだから。』
「「「「「!!??」」」」」
青藍の言葉に五人は目を見開く。
『ふふふ。』
青藍はそれを見て満足そうに微笑む。


「いや、まて。お前、何言ってくれてんの・・・?」
『あ、侑李は呼ばなくても今ここに居るよね。皆にお知らせしてあげようか?』
「な!?」
動きを止めた侑李に、青藍は楽しげだ。
『僕が知らないとでも思った?ちなみに、京は後輩で、キリトは先輩だよね。』
「「!?」」


「青藍・・・。貴方そう言う情報どこから仕入れてくるのよ・・・。」
『ちょっと見ていれば解るよ。皆、隠し事が下手だよねぇ。こういう話は弱みになるのだから上手く隠さないと。皆に遊ばれてしまうよ?』


「お前が上手すぎるんだろ・・・。こいつ、隠し事が上手すぎて、深冬に全く気付かれなかったんだぞ。」
豪紀はひそひそという。
「そうそう。可愛そうなくらい気付かれなかったのよね。私たちの前では駄々漏れだったのに。お蔭で私たちは楽しかったけど。」
雪乃もひそひそと答えた。


『そこ二人。五月蝿いよ。橙晴と実花姫の召喚、決定。』
「「!?」」
『加賀美君と雪乃が浮気しているとでも伝えておこうっと。』
言いながら青藍は楽しげに伝令神機をいじる。


「そ、それは駄目よ!!やめて!!」
状況を理解した雪乃は涙目になりながら叫ぶ。
『無理だね。もう呼んじゃったし。二人とも、飛んでくるよ。』
「な、にをしてくれてんだよ!!面倒なことになるだろうが!!!」
豪紀は顔を引き攣らせる。


『あはは。大変だねぇ。加賀美君。慶一殿に知られたら、相当遊ばれるよ。実花姫が慶一殿に泣きついたりしたら、遊ばれるどころじゃないね。楽しく苛められるね。可哀そうに。僕にもそのお誘いが来るかもしれないなぁ。楽しみにしておこう。』
青藍の言葉に豪紀は顔を青くする。


『ふふ。さぁて。そろそろ来るよ。』
「わ、私、今日はもう帰ろうかしら・・・。」
「俺も・・・。」
『後三秒。二、一。』


スターン!!!
青藍の秒読みと共に座敷の襖が勢いよく開かれる。
「兄様、どういうことですか!?」
「青藍様、どういうことですの!?」
「せ、青藍。一体何をしたのだ・・・。」
噛みつくように言った二人に引きずられてきたのか、深冬まで姿を見せる。


『あら、深冬まで連れてきちゃったの?』
「実花さまが邸に来られていたのだ・・・。それでみんなで話をしていたのだが・・・。」
『あはは。ごめんね。巻き込んじゃった。とりあえず、君はこっちに来なさいな。その二人のそばに居ると危険だよ。』


青藍に言われて、深冬はそろそろと二人から離れて、青藍の元へと近づく。
青藍の姿を見て深冬は不思議そうにした。
「・・・何故そんな恰好なのだ?」
『あはは。あの方に遊ばれてしまってね。漣家に行ってきたから。』
「・・・なるほど。」


『この格好は嫌?』
青藍の問いに深冬は不思議そうに首を傾げる。
「どんな格好でも青藍は青藍だろう?その姿も青藍の一部だ。色の違いなど、大したことではない。それとも青藍は人と違う私の色が嫌か?もし私の色が変わったら嫌になるか?」
深冬に言われて青藍は首を横に振る。


『まさか。君の言う通り、色の違いなど大したことじゃない。全く、流石深冬だよね。まぁ、ここにお座り。僕らは楽しく事の成り行きを見学しよう。』
青藍はそう言って隣の席に座るように深冬を促す。
深冬は首を傾げながらもそれに大人しく従った。


「雪乃。加賀美さんと浮気ってどういうことかな。」
「豪紀様。雪乃様と浮気とはどういうことかしら。」
橙晴と実花はにこにこと問う。
「誤解だ。そこの馬鹿が、面白がってそう言っただけだ。」
「そ、そうよ。浮気なんてする訳ないじゃない。」
二人は顔を引き攣らせながらそう言った。


「ふぅん?兄様、そうなのですか?」
『浮気というのは言い過ぎたけど、そこ二人が仲良しなのは事実だよ?二人で仲良く僕を苛めるのだけれど、どうするのがいいかな。』
青藍は楽しげに言う。
「・・・なるほど。それでこの状態なのか。」
深冬はポツリと呟く。


「そうでしたか。では、雪乃は僕が責任を持って引き受けますね。僕がしっかりと躾なおしておきます。」
橙晴はにっこりというが、それを見て雪乃は顔を青くした。
『うん。よろしくね。』


「それでは、僕は雪乃を連れて帰りましょう。・・・ほら、雪乃。帰るよ。」
「いや、ちょっと、待って・・・。」
「うん?抱えて連れて帰ってほしい?仕方がないなぁ。」
逃げようとする雪乃を橙晴は問答無用で抱え上げる。


「ちょっと!?橙晴!!降ろしなさい!」
「嫌だね。こんなに楽しい兄様のお遊びに乗らないなんて、損じゃない。」
「青藍のお遊びだと解っているのなら、やめなさいよ!!!」
「ほら、たまには兄様と遊んであげないと。ね、兄様?」


『あはは。そうだね。お蔭で僕は面白いものを見ることが出来たよ。橙晴、ほどほどに。君はともかく雪乃は明日も仕事なのだからね。』
「はいはい。出来る限り手加減しますよ。・・・保証はしませんけど。」
橙晴は小さな声で付け加える。


「橙晴!聞こえているわよ!?」
雪乃はそう言って暴れる。
「そう?気のせいじゃない?いいから帰るよ。」
「橙晴の馬鹿!鬼!人でなし!!!」
「ふぅん?そういうこと言うんだ。お仕置き決定。」


「な!?青藍のせいよ!?後で覚えて居なさい!!本当に悪魔ね!!!」
『あはは。橙晴、お仕置きよろしく。やっぱり好きにしていいよ。僕が許す。』
「!!!!」
「それは楽しみだなぁ。・・・では、失礼いたしました。」
橙晴はそう言って一礼すると、あっという間に姿を消したのだった。

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