色彩
■ 5.同窓会C

「まぁ、早々に諦めることね。・・・当主引き継ぎの儀で青藍の被害を受けたのは可哀そうだけれど。」
雪乃は同情するように言う。


「え、何それ。」
「青藍、何かやらかしたのか?」
「僕、それ知ってる。浮竹隊長と朽木副隊長と咲夜さんが慌てて朽木家に行ったから。深冬ちゃんも災難だったよね。」


「あぁ・・・。あれは、災難だった・・・。」
豪紀は遠い目をする。
『あはは。あれは、僕も巻き込まれた方なのだけれど・・・。』
「あの後相当大変だったんだぞ!」


『あーうん。知っているよ。帰ってきた父上、相当不機嫌だったから。その上、安曇様が父上に悪戯をするものだから、まぁ大変。お蔭で僕は次の日父上の仕事を全部引き受けました。母上との非番まで用意したさ。』
「自業自得だ。」


『まぁ、いいじゃないか。あの時、加賀美君が一番に動いてくれたから、助かったよ。』
「俺が一番近かっただけだ。それに、俺の邸でお前と深冬の身に危険があったんだ。俺が動かないでどうする。当のお前は霊圧を封じられた上に、首元に刃を突きつけられても笑っていたが。こいつ、護衛を呼ぶことすらしなかったんだぞ。」
豪紀の言葉に周りの者たちは唖然とする。


「青藍、一体どんな神経しているの・・・。」
京が呟くように言う。
『あはは。だって、あんなもので僕に傷をつけられるわけがないからね。それに、傷つけられたとしてもあの場には睦月も師走も居た。霊圧制御装置の解除も出来たからいつでも動けたし。そして僕は朽木家当主だ。簡単に取り乱すわけにはいかないのだよ。』


「だからってわざわざ喧嘩を売るようなこと言うなよ・・・。」
『売られた喧嘩は買わなきゃね。君だって、他の当主たちの話を聞く限り、上手く采配したらしいじゃない。お蔭で君の評判は鰻登りだ。なんだかんだで、君も得をしたわけだ。』
青藍は楽しげに言う。


「五月蝿いぞ。お前こそ、あの時の対応を見た当主たちは震えあがっていた。お前、普段適当な分、他の当主たちからの評価低いもんな。」
「え、そうなの?」
京は意外そうに言う。


「あぁ。こいつ、朽木家の放蕩息子だと思われてんだよ。まぁ、わざとそう見せているのだろうが。」
『あは。加賀美君には通じないけどね。つけ入るすきがあると思わせた方が、こちらとしてはやりやすいし。朽木家当主と言う立場で多少生意気も言うしねぇ。』


「その上、姫君たちの誘いを全て蹴っているくせに、楼閣に出入りしている。それじゃ、貴族の者は納得しないだろう。」
「そうね。朽木青藍は遊び人だという噂もあるくらいよ。その噂に乗じて青藍にお近づきになろうとする女性が星の数ほどいるのだから。この人、未だにお見合いの話が来るの。」


「あはは。普段の青藍を見れば、深冬ちゃんには勝てないのが一目瞭然なのにねぇ。」
『本当だよねぇ。楼閣に出入りしているのは、別に遊んでいる訳じゃないのさ。姐さん方の息抜きのために行っているというのは本当だけれどね。それが、牡丹さんが僕を守る条件だから。ま、遊んでいると思ってくれていた方が、僕としては嬉しいけれど。そっちの方が、色々と面白いことになるからね。』
青藍はそう言ってニヤリと笑う。


「青藍ってば、性格悪いよね。どうせ、青藍が遊んでいる証拠を掴もうとでもした貴族たちを炙り出しているのでしょ?」
『あはは。流石京だ。その通り。誰が敵で、誰が味方か知っておくのは必要なことだよ。牡丹さんも、姐さん方も僕の協力者ってわけだ。ああいう場所は本音が見えるからね。』


「お前、本当にアレな奴だよな・・・。当主の会議の時、わざわざ楼主が顔を出してお前のそばに居るのはそのせいか。」
『そうだよ。牡丹さんも人が悪いから。それに、牡丹さんが傍に居れば、僕に手を出そうとしてくる人もいないし。あの人、意外と腕が立つから。』


「牡丹さん、元死神だものね。」
キリトは笑いながら言う。
「まじかよ・・・。」
『本当だよ。それに、あの人と僕がどうこうなるとかあり得ないし。』
青藍は楽しげだ。


「あら、そうなの?牡丹さん、とても美人じゃない。貴族の男たちがこぞって口説きに行くくらいには。」
雪乃は詰まらなさそうに言う。
『あはは。確かに美人だけれどねぇ。あの人、女性じゃないし。僕は男性には興味がないよ。』


「「「「「!!!???」」」」」
けろりと言い放った青藍に、五人は目を見開く。

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