色彩
■ 2.同窓会@

「あれ、青藍だ。・・・何でそんな恰好なの?」
料亭の前で青藍たちを待っていたキリトは首を傾げる。
これから行くと伝えて、待っていてもらったのだ。
今の青藍の姿では座敷に通してもらうのは中々に説明が面倒なためである。


『あぁ、キリト。これは霊妃様の悪戯。暫く元に戻らないんだ。本当は着替えてから来るはずだったのだけれど、思った以上に遅くなってしまったから、そのまま来たんだ。』
「なるほど。それにしても、その姿は・・・。」


『あはは。霊妃様がこの姿を気に入ったようでね。最近はいつもこうされてしまうんだ。半日くらい戻らないから、今日はこのままかな。』
青藍は苦笑する。


「皆驚くだろうなぁ。ま、入ろうか。加賀美君も来てくれたんだね。二人の席も用意してあるから、着いてきて。」
キリトに連れられて、二人は座敷へと歩を進める。


「・・・お前、本当にその姿のまま顔を出す気か?」
『うん。駄目?』
「いや、駄目ではないが・・・。どう説明するつもりだ?」
『漣家の摩訶不思議、とでも。それか、技術開発局の犠牲になった、とかね。』


「あはは。後で阿近さんあたりに文句を言われそうだね。」
キリトはそう言って笑う。
『ふふ。ま、その辺は協力してくれるさ。僕に恩を売っておけば、技術開発局は睦月と師走を借りる口実が出来るからね。』


「お前、相変わらずだよな・・・。」
『いいじゃない。流石にこの衣装については本当のことを言わないと言い逃れは出来ないけれど。』
「それ、青藍が舞う時の衣装だよね。いつも、十三番隊の宴の時に着ているやつ。」


『そうそう。まぁ、この衣装を着ている僕を見たことがある人は結構いると思うから、それは構わないのだけれど。・・・やっぱり、この瞳が目立ちすぎるよねぇ。』
青藍は先ほどからちらちらと見つめてくる視線を感じて、苦笑する。
「金髪は珍しくないけど、瞳が金色っていうのは中々居ないものね。」
キリトもまた苦笑する。


「つか、お前、怖い。」
豪紀は青藍をチラリと見ながら言う。
『あはは。皆そう言うんだよなぁ。雷そのものみたいだってさ。』
「僕は、今は怖くないけどね。霊圧も雷もないし。あっちの方がもっと怖い。」
『あはは・・・。』
「さぁ、着いた。結構人が居るから、五月蝿いかもしれないけど、我慢してね。」
キリトはそう言って襖を開ける。



「皆さーん。青藍と加賀美君が来ましたよー。」
「お、やっと来たか。」
「僕も待ちくたびれたよ。」
「もう来ないのかと思ったわ。」
キリトの声を聞いて、侑李、京、雪乃は口々にそんなことを言う。


『遅れてごめん。ちょっと用事があったものだから。ちゃんと加賀美君も連れてきたよ。』
「お前が無理やり連れてきたんだろ・・・。俺にだってやることがあるんだぞ・・・。」
『八重殿は行ってきなさいとおっしゃっていたじゃない。』
「あれこれ理由を付けてそう仕向けたんだろ・・・。」


彼らの同期たちはその声を聞いて、青藍たちの方を見る。
そして、言葉を失った。


「・・・は?」
「青藍、なの・・・?」
「あの顔は、青藍の顔よね・・・?」
信じられないという顔をして、三人は青藍を見る。
他の同期たちも唖然として青藍を見つめた。


『あはは。うん。青藍で合っているよ。ちょっと、色々とあって、この姿なのだけれど。』
青藍は苦笑する。
「まぁ、卍解したときの青藍とほぼ同じ姿だし、そう驚くことじゃないよね。」
キリトはさらりとそう言った。


「「「卍解!?」」」
三人は目を丸くする。
「いや、待て・・・。お前、卍解、出来るのか・・・?」
豪紀は恐ろしいものを見るように青藍に視線を向けた。


『あれ?言っていなかったっけ?』
彼らの様子に青藍は首を傾げる。
「あれ。みんな知らなかったの?」
キリトは目を丸くした。
「「知らない!」」


『え。雪乃も知らない?』
「知らないわよ!何それ!?何故キリトは知っているの!?」
「僕、青藍が卍解したとき、その近くに居たもの。青藍、大怪我をしたとき、卍解していたんだよ?だからこそ隊長格が数人でやるべきことをほぼ一人でやることが出来たんだよ?多分、あの時の報告書にその記載があるはず。」


「え・・・?雷を呼んで力を増幅したのじゃなかった・・・?」
『それもした。・・・あれ?でも皆、母上が拘束されたとき、僕の姿見ていないんだっけ?』
「金色・・・。」
豪紀は何かに思い当たったように目を見開く。

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