色彩
■ 24.皆でお風呂

「深冬。話さなくても何があったのか、知る方法はあるのだぞ。」
そんな深冬に咲夜はにこやかに言う。
「・・・。」
深冬はそれでも沈黙する。


「・・・話す気はないのね。それじゃ、こうするしかないわ。」
「そうだな。深冬、大人しくするのだぞ?」
茶羅と咲夜はそう言って深冬を取り押さえる。
「な!?茶羅!?咲夜様!?一体、何を・・・。」
深冬はジタバタと逃げようとするが、二人はびくともしない。


「ちょっと、失礼するわ。」
「すまんな、深冬。」
雪乃とルキアはそう言って深冬の袂に手をかけた。
「!!!!」
一体何を見ようとしているのか見当がついて、深冬は恥ずかしさで涙目になる。
しかし、二人はそれに構わず袂を広げた。


「「「「・・・。」」」」
露わになった深冬の胸元を見て、四人は沈黙した。
「も、やめ・・・。」
じいっと見つめられて、深冬は体をよじる。


「・・・青藍も男だったのだな。」
ルキアがポツリと呟く。
その視線の先には、白い肌にちりばめられた赤い華。


「・・・青藍も独占欲が強いらしい。苦労するな、深冬。」
咲夜は同情するように言った。
「これだけ痕をつけておいて、あんなに飄々としているなんて・・・。」
「あの人、どれだけ隠し事が上手いのよ・・・。」
茶羅と雪乃は信じられないというように言った。


「これはつまり、昨日の夜、深冬は青藍に美味しく頂かれたのね?」
「う・・・はい・・・。」
諦めたのか、深冬は大人しく頷く。
「感想は?」


「・・・・しあわせ・・・でした・・・。」
茶羅に問われて、深冬は虫が鳴くような声で、でも幸せそうに言う。
「朝から出かけていたようだが、体は平気だったのか?」
「それ、は・・・青藍は、すごく・・・手加減を・・・したらしいので・・・。」
ルキアの問いに深冬は恥ずかしそうに言う。


「まぁ、そうだろうな。初めてということもあるしな。青藍の本気は白哉並みな気がするぞ・・・。」
「そうですわね。これだけ痕を付けておいて、すごく手加減をしただなんて・・・。本当に兄様はあの綺麗な顔の下にどれだけのことを隠しているのよ・・・。」


四人は脱力したように、深冬から手を放した。
深冬は慌てて袂を手繰り寄せる。


「まぁ、あれだ。暫く、隊舎の浴場に行くのは控えた方がいいぞ。まぁ、その痕が薄くなるのかは疑問だが。」
「あら、経験者は語る、ですわね。」
「五月蝿いぞ。今だってほとんど隊舎の浴場には行かない。」


「薄々気が付いていましたが、朽木隊長も衰えないのですね・・・。」
雪乃は気の毒そうに言う。
「そうなのだ・・・。あれのお仕置きは本当に大変なのだ・・・。」
「雪乃も気を付けた方がいいわよ。橙晴も父上の子ですからね。」


「いや、それは・・・。」
「雪乃様も橙晴に食べられてしまえばいいんだ。」
深冬は仕返しとばかりに言い放つ。
「ははは・・・。皆大変なのだな・・・。」
ルキアは苦笑する。


「あら、ルキア姉さまも他人事でなくてよ。」
「あはは。そうだな。ルキアも少しは警戒した方がいいぞ。狼はどこにいるか解らないからな。」
「そうなのですか・・・?」
ルキアは首を傾げる。


「あぁ。残念ながら、君も虎視眈々と狙われている。」
「だ、誰に?」
「それは秘密だ。ルキアの相手は苦労するのだろうな。」
「そうですね。きっと、大変だと思います。」
「だ、誰なのだ!?」
ルキアは不安げに聞くが、皆は笑うだけで答えない。


それから、とりあえず、皆は風呂に入ることにした。
体を洗い、皆で湯船に浸かる。


「・・・それで、茶羅は、そういう相手はいないのか?」
咲夜は興味津々といった様子で聞いた。
皆も興味があるのか、茶羅に視線が集まった。
「私は父上や兄様方より格好いい方でないと、認めませんもの。今の所、そんな方は居りませんわ。」


「師走は?よく二人で出かけているだろう。山中に泊まったりすることもあるらしいな。」
ルキアの問いに茶羅は笑う。
「ふふ。あの人は、意外と女性に興味がないのよねぇ。かといって遊んでいないわけでもないようだけれど。」


「そうなの?」
「えぇ。女性をあしらうのが上手いもの。でもきっと、睦月よりも女性に興味がないわ。だから父上は私と師走が山中に寝泊まりしても何も言わないのよ。それに・・・。」
「「「「それに?」」」」


「師走は多分、想い人が居るわね。これは私の勘だけど。だから私には興味もないのよ。私も師走とどうこうなるとか想像できませんわ。」
茶羅はそう言って笑う。


「じゃあ、京楽か?昨日、躊躇いなく京楽を引き入れただろう?」
「あら、それは母上が十四郎さんを引き入れると思ったからですわよ?兄様は烈先生で、橙晴は雪乃でしょ。十五夜様も居たけれど、父上が春水さんを引き入れるとは思えなかったので、私が春水さんを引き入れたのですわ。」


「では、十五夜様は?いつも結婚してくれと言われているだろう。」
「あの方は本気じゃないもの。本気で言っているのなら考えますけどね。」
「それじゃあ、父様は?」
「ふふ。安曇様は確かに格好いい方だけれど、あの人は遠くから見ているぐらいが丁度いいわ。」
茶羅は楽しげに言う。

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