色彩
■ 20.女性陣の会議

一方、朽木邸では何やら会議が開かれていた。
面子は咲夜、雪乃、茶羅、梨花、実花の五人である。


白哉と橙晴は未だ部屋から出てこない。
いや、白哉は咲夜を巻き込んで二度寝に入ろうとしたのだが、咲夜が抵抗して逃げ出したため拗ねて一人で二度寝に入った。
橙晴はまだ一度も目覚めておらず、すやすやと眠っているらしい。


起きてこない二人に清家は呆れた表情をしたが、まぁ仕方がないか、と今日は起こすことはしないらしい。
咲夜が起き出して、ルキアと共に遅めの朝餉を摂っていると、茶羅と雪乃が起きてきた。
朝餉を済ませて四人で話していると、ルキアは仕事が入ったらしく、慌ただしく出かけていく。
それから、梨花と実花がやってきたのである。


「・・・あの二人、朝から出かけていったらしい。」
咲夜はひそひそという。
五人の会議の議題はもちろん、青藍と深冬についてである。
「そのようですわ。寝ていて二人の様子を見ることが出来なかったとは不覚です。」
茶羅が悔やむように言う。
「私もそう思う。くそ。何故こんなに早起きなのだ・・・。」
咲夜も悔しげに言う。


「初夜だったのに・・・?」
「あの二人、ちゃんと結ばれたのよね・・・?」
二人の様子に梨花と実花は首を傾げる。
「え、まさか、青藍、まだ、手を出していないなんてことがあるの・・・?」
雪乃があり得ないと言った表情をする。


「青藍様、本当に男なのよね・・・?」
「そのはずだ。私の息子として生まれたはず・・・。」
「でも、昨日の夜、深冬は部屋に居なかったわ。」
「茶羅様、確認に行ったのね・・・。」
茶羅の言葉に、梨花は苦笑する。


「当たり前よ。こんなに面白いこと、見逃すはずがないじゃない。」
「だが、それはつまり、青藍の部屋に居たということだよな・・・。」
「そうでしょうね。新婚夫婦が、夜、同じ部屋に居て、何もないって・・・あり得ます?」
雪乃は咲夜に視線を向ける。


「あり得ないだろう・・・。私はあっという間に食べられた。そもそもそれ以前に食べられていたしな・・・。」
「あら、白哉様、本当に咲夜様を捕まえていたのね。」
「あぁ。身も心もがっちりと捕えられていた。いや、私の話は良い。今は青藍だ。」


「普通は熱い夜になって、誰よりも遅く起き出すものよね?青藍様、何年も待ったのだから。箍が外れてもおかしくないわ。」
実花はそう言って首を傾げる。
「まぁ、そうだろうな。それなのに!何故、我が息子たちは早起きなのだ!?」
咲夜はそう言って頭を抱える。


「だって、白哉の子だぞ?手を出さないはずがない!」
「そうですわ。父上、今だって、母上に手を出しているのに。」
「そうだ!・・・・・・いや、茶羅は何故それを知っているのだ。」


「ふふ。周知の事実ですわよ。きっと、兄様方だって気付いておられますわ。それに、母上とお風呂に入れば一目でわかりますもの。」
茶羅はそう言って胸元を指さす。
「な!?・・・それは、そうだが。」
「本当に、何時までも新婚みたいな夫婦なのですから。」


「別にいいではないか・・・。私の話はいい。見たところ、青藍は深冬にほとんど手を出していなかったよな?」
咲夜は確認するように言う。
「そのようですね。青藍はそう言う欲がない訳ではないはずなのに。」
「兄様、気を抜くと駄々漏れですものね。深冬の前ではそんなことありませんけど。」
そういって茶羅は呆れた顔をする。


「確かに、深冬様が相手だと手を出しづらいというのもあると思いますが・・・。」
梨花は考え込むように言う。
「それは、男としてどうなのです?深冬様に意識してもらうためにそう言う欲を見せることも必要だったはずですが。」


「深冬様も深冬様なのよねぇ。青藍様に躊躇いなく抱き着いたりするのですもの。あれでは、兄妹の様だわ。」
「あら、青藍はそういうとき、煩悩と戦っているのよ?兄のように振る舞いながら。」


「本当に、そういうことを器用に隠すよな・・・。我が息子は手強い。私ですら、騙されている気がする。」
咲夜は複雑な顔をする。
「えぇ。私もそう思います。もっとも、深冬は騙せないようですけど。」
茶羅は悪戯に言う。


「そうね。深冬には青藍の嘘が通じないのよね。」
「そうそう。隠し事があるということも、深冬はすぐに気付くわ。」
「でも、あんまり深冬からは聞かないのよね。」
「自然に話してくれるのを待っているのだろう。白哉も、こちらから聞くと話してくれなかったりするからな。」
「父上は、言葉にするまで時間がかかりますものね。」

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