色彩
■ 25.目出度い話

そんなある日。
「失礼します。青藍、居る?」
仕事をしていた青藍の元に蓮がやってきた。


『蓮。珍しいね。・・・今日は非番なの?』
蓮の服装を見て、青藍は首を傾げる。
「うん。時間を取ってもらえるかな。ちょっと、報告。できれば、朽木隊長と阿散井副隊長、橙晴にも時間を取ってほしいのだけれど。」


「僕も?」
「うん。」
頷いて微笑む蓮を見て、青藍と橙晴は何となく用件を理解した。
『解った。とりあえず、隊主室に行こうか。』
そう言って三人で連れ立って、隊主室へと向かう。


『失礼いたします。』
「「失礼します。」」
三人はそう言って隊主室に入る。
中には丁度恋次も居た。


「何だ?三人揃って。つか、蓮。久しぶりだな。」
恋次はそう言って笑みを見せる。
「あはは。お久しぶりです。阿散井副隊長。朽木隊長とはそこそこ顔を合わせるのですが、副隊長とは中々会いませんねぇ。」


「はは。ま、お互い忙しいからな。・・・隊長に用か?」
「はい。朽木隊長と阿散井副隊長、それから青藍と橙晴。皆さんにご報告をと思いまして。今、少々お時間よろしいでしょうか?」


「構わぬ。座れ。」
白哉に言われて、皆が長椅子に座る。
『それで、報告って?』
「うん。・・・僕、玲奈さんと婚約しました。」
蓮はそう言って微笑む。


「そうか。それはめでたい。」
「へぇ。おめでとう。」
『おめでとう、蓮。』
「そうか。お前もか。良かったな。」
「はい。ありがとうございます。」
皆に言われて蓮は嬉しそうに言う。


「・・・祝言は何時だ?」
「三か月後に。ですが・・・どうやら内輪だけでやることになりそうです。僕も玲奈さんも色々と訳アリなので。」
蓮はそう言って苦笑する。


『あはは・・・。まぁ、確かにそうだよね。漣家の婚礼に周防家が来るのは別におかしくないけど、みんな揃ったら色々と表沙汰になってしまうだろうし。』
青藍は苦笑する。
「うん。・・・なので、祝言は漣家を会場にして、漣家、周防家の皆さんと、僕の家族とでささやかに行います。」


「そうか。・・・青藍。」
蓮の言葉を聞いて、白哉は頷くと、青藍の名を呼ぶ。
『えぇ。解っています。朽木家からは内々に贈り物を送りましょう。まぁ、その後落ち着いたら、皆を集めて、朽木家でお祝いをしよう。僕らだけじゃなくて、母上たちもきっと祝いたいだろうから。』


「うん。ありがとう。」
『もちろん、恋次さんやイヅルさんたちも呼びますからね。』
「おう。」


『それにしても三か月後かぁ・・・。いいなぁ。僕なんか一年後だよ・・・。』
青藍が羨ましそうに言う。
「ふふ。青藍、まだまだ待つんだねぇ。」
「兄様、毎日煩悩と戦っていますからね。」
『五月蝿いよ、橙晴。』


「橙晴も同じようなもんだろ。雪乃、朽木家に出入りしてんだろ?」
「そうなんですよ。どうしましょうか。僕も勝手に婚約しちゃおうかな・・・。」
橙晴はそう言ってため息を吐く。
その様子に白哉は小さく笑った。


「父上、何笑っているんです?」
「いや、前途多難だと思ってな。」
白哉は楽しげに言う。


「前途多難にしているのは父上じゃないですか・・・。いい加減、僕で遊ぶのやめてくださいよ・・・。」
楽しげな白哉に橙晴は拗ねたように言う。


「青藍、朽木隊長、何かしたの?」
『ふふ。雪乃は橙晴に落ちる前に違う意味で父上に落とされているのさ。だから朽木家には雪乃の部屋がある。』
「なるほど。橙晴、大変だねぇ。」
「隊長相手じゃ橙晴も苦労するよなぁ。」
蓮と恋次は同情するように橙晴を見る。


「ちょっと、二人ともそんな目で見ないでくださいよ。落ち込むじゃないですか。」
「あはは。ごめん。」
橙晴に睨まれて蓮は笑う。


「うわ、蓮が余裕だ。腹立たしい。玲奈さんに振られてしまえ。」
「えぇ・・・。八つ当たりっていうんだよ、それ。」
蓮の言葉に皆が笑う。
「ま、青藍ぐらい、気長に待てよ。」
恋次が慰めるように橙晴の肩を叩く。


「・・・僕の方が長いんですよ。何年待っていると思っているのですか。もう、二十年くらい待っているんです。兄様なんか比じゃないんですよ。」
橙晴は唸るように言う。


「は?そうなのか?」
『え、そんなに前からなの?』
「ほう。それは尚、面白いな。」
「あはは。大変だねぇ。」


「そうですよ・・・。雪乃が霊術院に居るころから何ですからね。大体、父上、尚面白いって酷くないですか?まだまだ僕で遊ぶつもりですね・・・。」
橙晴に睨まれて、白哉は口が滑ったというように口元に手を当てる。
その瞳は面白がっているのだが。


『あはは。なるほど。父上も意地悪ですねぇ。』
「隊長、完全に遊んでますね・・・。」
「流石朽木隊長ですよねぇ。」
「こういうことでもないと橙晴は私に刃向ってこないからな。青藍は昔から私を超えると言って刃向ってくるが。」
白哉は楽しげに言う。


『あはは。橙晴も父上という強敵に立ち向かわなければならないのか。』
「えぇ・・・。それはなるべく避けて通りたかったなぁ。」
そう言った橙晴に皆が笑ったのだった。

[ prev / next ]
top
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -