色彩
■ 19.責任重大

「・・・で、青藍。当主となった感想は?」
白哉と咲夜を見送って、睦月が口を開く。
『あはは・・・。責任重大だよねぇ。』
青藍は力が抜けたように言う。


「親の前で見栄張ってどうするんだ。まぁ、心配かけないためだろうが。さっきの白哉さんの言葉を聞いたら余計に。」
睦月は呆れたように言った。
『さすが睦月。そこまで見抜いていらっしゃる・・・。』
そんな睦月に青藍は苦笑する。


「父上、本当に長く当主を務めましたものね・・・。」
「ま、そうだな。ルキアを朽木家の養子にする前からだから、相当長いな。」
『うん。その父上がさぁ、躊躇いなく僕に頭を下げるんだよ?そして、あの場に居た者全員が僕に頭を下げた。・・・自分にそれだけの力があるというのは、怖いよねぇ。』
言いながら青藍は目を伏せる。


「確かにあの光景はぞっとするものがあるわよね。」
『雪乃・・・。一体どこで見ていたの・・・。あの場には朽木家と、各家の当主又は次期当主、それから僕の婚約者である深冬しか入れなかったはずだけれど。』
「あら、私、睦月さんと師走さんと一緒に警護のふりをして見ていたのよ。こっそりとね。」
雪乃は悪びれなく言い放つ。


「お前だけじゃなく梨花と実花も居たけどな。あ、あと阿散井も。朽木家の警護に六番隊が駆り出されたから。」
『なるほどね・・・。』


「お前の雰囲気に、阿散井は震えあがっていたぞ。白哉さんがお前に頭を下げた時なんか、顔を青くしていた。」
『あはは。まぁ、そうだよね。あれだけの当主たちが一堂に会して、それだけでも中々迫力があったもの。』


「なるほど。だから恋次は帰るときあれ程疲れ切っていたのだな。」
ルキアが納得したように言う。
「実際、あれは僕らでも疲れるからね・・・。」
「本当よ。堅苦しいったらないわ。兄様が微笑んだおかげで大分雰囲気が和らいだけど。」


『ふふ。だって深冬が、穴が開くほど見つめてくるから。だから見つめ返したら、深冬、笑うんだもの。つい、頬が緩んじゃったよね。』
青藍は深冬をからかうように言う。


「別にいいだろう。いつもと雰囲気が違うから驚いたのだ・・・。でも、青藍が私を見る目はいつもと一緒だったから安心したのだ・・・。」
そんな青藍に深冬は拗ねたように言う。
『うん。でも、お蔭で助かったよ。あれで呼吸をひとつすることが出来たから。知らないうちに力が入っていたみたいだ。』


「青藍は無意識に力が入るやつだからなぁ。」
師走が呆れたように言った。
『仕方ないんですよ。これは性分です。』
「じゃ、深冬御嬢さんの仕事は青藍の力を抜くことだな。」
「・・・そうだな。」
深冬はそう頷く。


「それじゃあ、青藍は深冬が居ないと駄目ね。」
「そんなの前からそうよ。」
「あはは。そうだね。兄様、全部一人でやろうとするからなぁ。」
「それで無茶して俺たちの寿命を縮めてくれるからな。」
「ははは。ま、それでも俺はちゃんと付いて行きますよ、ご当主?」
師走は楽しげに言う。


『ふふ。僕を当主と呼ぶのも、僕に敬語を使うのも正式な場だけでいいよ、師走。もちろん、皆もだけど。』
「そ。じゃ、遠慮なくそうさせてもらおう。」
「青藍は昔からそうだよな。そういうとこ、咲夜さんにそっくり。ま、ルキアもそういう所あるけどな。」


「ははは・・・。私は、幼少期を流魂街で過ごしたからな。堅苦しいのは得意ではないのだ。今日のような席はその場に居るだけで疲れてしまう。」
ルキアは苦笑する。


『ふふ。だから正式な場で出来ればいいんです。そうじゃないと皆で疲れてしまいますからね。』
「そうだな。」
青藍とルキアはそう言って笑いあう。

[ prev / next ]
top
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -