色彩
■ 18.女性の敵

「深冬と雪乃だけじゃなく、青藍と橙晴も告白されているだろう。それはどうしているのだ?」
ルキアは首を傾げる。


『深冬と婚約してからは代わりの者に行かせていますよ。まぁ、面倒臭そうな人は自分で行って切り捨ててきますけど。』
「あはは。兄様、容赦ないですよねぇ。」
『橙晴、人のこと言えないでしょ。』
「ま、そうですね。僕も基本、自分では行きません。」


「俺、この間橙晴の代わりに断ったわ。そうしたら、じゃあ、睦月さんでもいいですって言われて全力で逃げてきた・・・。女性不信になるぞあれは・・・。」
睦月がげんなりしたように言う。


『あはは!!何それ。睦月、可哀そう。』
「まぁ、僕らへの告白なんて皆いい返事を期待していませんからね。」
『まぁね。とりあえず気持ちを伝えたいっていうだけの子が多い。中には本気な人もいるから面倒なのだけれど。僕に関して言えば、相手の性別は関係ないし。』
青藍はそう言ってため息を吐く。


「あはは!!!青藍、それは大変だな。」
青藍の言葉に咲夜は笑う。
『笑い事じゃないんですよ・・・。母上だって同じようなものでしょう。』
「そうだな。咲夜への呼出には同性からのものもあるようだ。」
『父上、そこまで把握しているんですね・・・。流石というか何というか・・・。』


「・・・朽木家って基本的に女性の敵よねぇ。」
その会話を聞いていた雪乃がしみじみという。
「あら、仕方ないじゃない。見た目だけでも突出しているのだから。父上だって未だに誘いが絶えないのよ?」


「白哉兄様も?」
「えぇ。まぁ、父上の場合、父上が一睨みすれば皆逃げていくようだけれど。それに母上を知る人は自分では敵わないと解っているもの。」
「青藍たちだけでなく、白哉様も大変なのだな。」


「ふふふ。女性陣は余裕だな。雪乃も深冬も二人が告白されることに不安はないのか?」
咲夜が楽しげに聞く。
「相手の方に同情します。」
雪乃はきっぱりと言い切る。
「私は青藍に同情します。いつも、何かと可哀そうなので・・・。」
深冬は憐れむように青藍を見た。


『あはは・・・。うん。そうだね。僕は毎回大変だよね・・・。』
「最近は複数で来るな・・・。」
『気絶させられたりしたら大変だよね・・・。だから最近は黒刃と白刃、あとたまに深冬にも待機してもらっているのです・・・。』
二人はそう言って遠い目をする。


「一体何があったのだ・・・。」
『母上、聞きたいですか?』
「・・・いや、遠慮しておこう。白刃と黒刃もげんなりしているようだからな。」
『うん。それがいいと思います。』


「さて咲夜、私たちはそろそろ戻るぞ。このまま話していたら夜が明けてしまう。」
「ふふ。そうだな。明日も忙しい。そろそろ布団に入るか。」
『あはは。父上も母上も部屋を間違えないでくださいね。』
青藍に言われて白哉は思い出したような顔をする。


『あれ、もう忘れていたようですね。』
「・・・五月蝿いぞ。あの部屋へは体が勝手に覚えるくらい行き来したのだ。」
「ふふ。そういう青藍と深冬も間違えるなよ。」
『はぁい。』


「そなたらも早々に休むのだぞ。明日も非番とはいえ、やるべきことが沢山あるのだからな。」
『えぇ。解っています。おやすみなさい。』

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