色彩
■ 35.来襲

どろり。
割れた空から何かが流れ込んでくる。
『あぁ、やっぱり・・・。』
流れ込んできたのは、大量の虚。
その奥には、大虚の姿もある。


「虚だけじゃない・・・大虚!!!それも凄い数だぞ!?虎徹三席、護廷隊に救援要請!!!」
「はい!」
「隊士たちは四班一組となって、虚の討伐に当たれ!!虚閃には気をつけろ!!!」
ルキアはすぐさま指示を出す。


『では、僕はあの穴を埋めてきますか。恋次さんは既に卍解しているようですね。僕も卍解しようっと。』
青藍は軽くそんなことを言う。
「この状況で焦らないとは、流石青藍だ。私は出てきている虚をどうにかする。向こうは恋次と青藍に任せるぞ!」


『はい。何とかしてみましょう。』
「気を付けるのだぞ。」
『えぇ。ルキア姉さまも。』
そう声を掛けあって二人はそれぞれに動き出す。


『・・・卍解、火雷大神。』
解号と共に斬魄刀が砕け散り、青藍の姿が変わる。
青藍はすぐに恋次の元へ飛び上がった。
『恋次さん!!護廷隊への救援要請はしてあるので、僕らでなんとか流入を止めましょう!』
「おう!」


『あ、そうだ。・・・白刃!!!手を貸して!!!大人の姿で。』
青藍に呼ばれて、白刃が卍解した姿で現れる。
「おう!?誰だお前!?」
初めて見る大人の姿に、恋次は目を丸くする。


『あはは。白刃の本来の姿です。母上並みに強いので、安心してください。』
「青藍。私は、攻撃には向かないのですが・・・。」
『うん。解っているよ。だから、霊圧で押し返す。最大出力で霊圧を放出して。恋次さんも解っていますね?』
「あぁ。・・・行くぜ!!!」


その掛け声とともに、三人は霊圧を全開にする。
そのおかげか、流入する大虚の数が減っているが、それでも穴が塞がる様子はない。
・・・やっぱり、三人じゃきついよね。
青藍は霊圧を放出し続けながら、内心で呟く。
しかし、下に居る隊士たちではそう長く持たない。
何せ大虚が居るのだから。
ルキア姉さまも討伐に当たっているが、それでも追い付かない。


仕方がない。
雲を呼んで力を増幅するしかないか。
青藍はそう考えて雷雲を呼び寄せる。
あたりは黒い雲に覆われて、薄暗闇となった。
雷鳴があちらこちらから響いてくる。


『僕、今から、あの穴に霊圧を投げ込みます。恋次さんも同時にお願いします。』
「解った。」
『白刃は攻撃と同時に回避!』
「了解です。」
二人が頷いたのを確認してから、青藍が空に手をかざすと雷の槍が出来る。


『落ちろ、大雷!』
さらに雷を槍の上に落とした。
轟音がその場に鳴り響き、雷を吸収するように槍が大きくなっていく。
「お前、それ、でかくねぇ!?」
恋次のそんな声が聞こえるが、青藍は気にすることなく雷を集め続ける。
その大きさは、ビル一個分ほどになっていた。


『行きますよ!!!恋次さん!!』
「おう!行くぜ、蛇尾丸!!・・・狒骨大砲!!!」
『・・・行け!!!!』
青藍はその槍を穴に向かって投げた。
恋次の火骨大砲を追うように巨大な雷の槍が穴に向かっていく。
それをみて、白刃は穴から距離を取った。


一瞬の後、それが穴に衝突する。
あたりに突風が吹き荒れ、轟音が轟いた。
見ると、巨大な槍が穴にぶつかり、ふたをする形となっている。
その中で爆発が起こっているようだった。


『落ちろ・・・大雷!!!』
それを見た青藍は、すぐさまその槍の上に雷を落とす。
さらに巨大化した雷の槍が、完全に穴を塞いだ。
大気に雷が満たされ、ビリビリと音を立てている。


『はぁ、はっ。』
くそ。
流石にきつい。
やっぱり大雷は霊圧の消耗が激しいな・・・。
もっと体力が欲しい・・・。


『・・・これで暫くは持つはずです!!!あれが穴を塞いでいるうちに出てきている虚を殲滅してしまいましょう!このままでは隊士たちの体力がもたない!!』
息を切らしながら、青藍は叫ぶ。
「おう!お前も無茶すんなよ!相当消耗しただろ。」
『解っていますよ。白刃は怪我人の保護を!!』
「解りました。」
言って三人はそれぞれ動き出す。


その頃、深冬は少しずつ後退しようとしていた。
大量の虚に班から分断され、一人取り残されてしまったのである。
しかし数が多いために、逃げ場がない。
これでは、大虚に虚閃を放たれたら逃げられない・・・。
寄ってくる虚を斬りつつも、深冬は考える。


どうにかして、ここから抜け出さなければ。
これではこちらの体力が削られるだけだ。
右から左から前から後ろから現れる虚を深冬は何とか斬り倒す。
しかし数が増えるばかりで、どうすることも出来なくなってきた。


始解・・・は、有効ではあるだろうが、この数ではどの虚に夢を見せたものやら。
深冬は内心でため息を吐く。
彼女の斬魄刀の名は、幽冥といって、夢を司る。
相手の意識を夢の中に閉じ込めるのだが、夢を見せられる対象は一つに限定されているのだ。


他の皆は、無事だろうか。
確認をしたいが、虚の数が多すぎて、仲間を目視することも出来ず、霊圧を探るにしてもどれがどれだか解らない。
ただ、青藍の霊圧だけは、感じ取ることが出来た。
疲労が蓄積し、動きも鈍くなっている。
一瞬反応が遅れて、気が付くと、目の前には虚の爪が迫ってきているのだった。

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