色彩
■ 26.意地が悪い

『・・・ふ、ふふ。あはは!!!』
赤い顔の雪乃を見て青藍は思い切り笑い出す。
白哉はそれを一瞥して、口元を緩めた。
『橙晴の一番の敵は、父上という訳だ!それは面白いや!』
青藍は楽しげに言う。


「な、ちょっと、何それ!?」
『父上はそれを狙って雪乃を匿いましたね?』
「さぁな。」
書類で顔が隠れているものの、その声は楽しげだ。


『ふふ。父上はやっぱり僕の父上ですね。意地が悪いなぁ。』
「何!?何なの!?ねぇ、青藍!?」
楽しげな二人に雪乃は混乱したように言う。
『あはは。父上が、橙晴に意地悪をしているのさ。』
「え?」


『だって君、父上が義父になることに頷いたじゃない。それってもう、橙晴をそう思っているってことでしょう?父上はそれを知った上で、君にああ言ったんだ。君も橙晴も父上の掌の上で転がされているってことだね。橙晴は君の気持ちに気付いていないのだから。さて、橙晴はそのことにいつ気が付くのやら・・・。』


「え?だ、ちょ、それは、だ、え・・・?」
混乱した視線を雪乃は白哉に向ける。
「・・・朽木の邸に、雪乃の部屋を用意しておこう。」
その視線を受けながら、白哉は楽しげに言う。
その言葉の意味を理解して雪乃は再び赤くなる。


『ふふ。良かったね、雪乃。父上公認だよ。と、いうか、なんにしろ、雪乃は朽木家から離れられないみたいだね。』
青藍はそう言って笑う。
『父上は君のことを気に入っているらしい。』
「そなたは良い娘だ。これからも青藍たちを頼むぞ。良い友人でいてやってくれ。」


「!!!」
白哉に言われて、雪乃は目を丸くする。
『と、いうわけで、橙晴とくっつかなくても、もう、逃げられないみたいだよ?』
「何よそれ・・・。朽木隊長が一番狡いじゃない・・・。青藍なんてまだまだだわ・・・。こんなの敵わないわよ・・・。」
赤い顔をして力が抜けたように言った雪乃に、白哉も青藍も笑ったのだった。


「居た!見つけたぞ、青藍!!」
そこへ窓から咲夜が現れる。
『あらら。見つかってしまいましたか。』
「雪乃まで居るじゃないか!・・・白哉?匿っていたのだな?」
咲夜はそう言って白哉に詰め寄る。


「私は二人に仕事を手伝ってもらっているだけだ。」
「私が追いかけているのを知っていたくせに。」
白哉の言葉に咲夜は不満げだ。


「そんな顔をするな。少し、話があっただけだ。」
白哉はそんな咲夜を宥めるように撫でる。
『ふふ。そうですよ。ね、雪乃?』
「・・・えぇ。そうね。」


「・・・まぁ、いい。とりあえず、今は青藍に事情聴取だ。ルキア!茶羅!青藍を見つけたぞ!ここへ来い!」
咲夜は窓から顔を出してそう叫ぶ。
それを聞いたのか、窓から二人が入ってきた。


「あら、父上が共犯者だったのね。道理で捕まらないわけだわ。」
「そうだな。兄様、窓から失礼いたします。」
『あはは。ルキア姉さまが窓から入るなんて、珍しいですねぇ。』
「・・・見なかったことにしてくれ。」
楽しげな青藍に、ルキアは気まずそうに目を逸らした。


『ふふ。姉さま、最近母上に感化されていますよね。まぁ、その方がいいですけど。面白いので。』
「あはは。私と居る時間が長いからかもな。」
咲夜はそう言って愉しげに笑う。


「・・・さて、白哉もこっちに来て青藍の話を聞こうではないか。」
咲夜はそう言って白哉の手を取り引っ張る。
白哉はそれに苦笑して立ち上がると引かれるままに長椅子へと座る。
皆が青藍を囲んで長椅子に座った。


「さぁ、青藍。始めようか。」
「しっかり説明して頂きますわ。」
「そうね。」
「話を聞いてやろう。」
『あはは・・・。』
彼らのわくわくとした表情に青藍は苦笑する。

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