色彩
■ 23.お友達

「・・・で、なんでお前らはここに居る。」
豪紀は目の前に居る二人を見て、溜め息を吐く。
『あはは。ちょっと、追求から逃れてきたのさ。母上も茶羅もルキア姉さまも、今頃頑張って探しているのだろうね。』


「つか、なんだよ、その恰好。」
胡散臭げな視線を青藍に向けながら、豪紀は言う。
『あはは。かくれんぼには最適。霊圧を遮断する外套だよ。こんなものでも使わないと母上から逃げられないからね。』


「頼むから仕事しろ。新年度は忙しいんだよ。お前には俺の周りに居る新入隊士が見えないのか・・・?」
そう言う豪紀の蟀谷には青筋が一つ。
『あはは。見えているよ。皆、護廷隊にようこそ。僕は加賀美君とお友達の朽木青藍。六番隊の第三席だよ。よろしくね。』
言いながら青藍は微笑んで、彼らに手を振る。


「誰がお友達だよ。まじで仕事しろよ、六番隊第三席。そうやってうちの隊士を誑し込むな。」
『人聞きが悪いなぁ。だって僕、この時期は暇なんだよ。』
「は?お前も席官だろうが。新入りの指導ぐらいするだろう。」
『仕方ないじゃないか。最初の一回しかやらせてもらえなかったのだから。』


「は?」
『僕が教えると、皆話を聞いてくれない。それで結局他の席官がもう一度説明することになるから、邪魔だって、他の席官たちに追い出された。というか、新人が僕に慣れるまで近付けてさえ貰えない。別に誑し込んでいる訳じゃないのにさ。』
青藍は不満げだ。


「・・・はぁ。お前は何処に居ても邪魔だ。どこか人のいない所に行け。」
深いため息と共に、豪紀は額に手を当てる。
『えぇ。酷い。匿ってよ、未来のお義兄さん。』
「・・・。」
青藍の言葉に豪紀は顔を顰める。


『え、何その顔。凄く嫌そう。僕は君の可愛い可愛い妹の婚約者だよ。もうちょっとどうにかならないの。』
「俺は本当にお前のことが嫌いだ。次そう呼んだら、朝比奈にあることないこと吹き込むからな。」


『だ!?それは駄目だ。色々と駄目だ。僕は君に要らないことまで話した気がするから、それは絶対に駄目だ。ていうか、なんで君たちが仲良くなっているかな!?』
「五月蝿い。帰れ。邪魔だ。」
『酷いなぁ。今、母上に捕まったら深冬まで大変なのに。ねぇ、深冬?』
「・・・さぁな。」
楽しげな青藍から目をそらしながら深冬は言う。


「深冬まで巻き込むなよ・・・。深冬も仕事はどうした・・・。」
「私は咲夜様に連れ出されたので。浮竹隊長は諦めておられます。」
『そうそう。』
「・・・お前ら親子は一体何なんだ。本当に竜巻か。あれもこれも巻き込みやがって。」
『あはは。自覚はあるけど、それは周りに諦めてもらうしかないよね。治そうと思って治るものじゃないし。』


「そういうことは治す努力をしてから言え。」
『ちぇ。手厳しいなぁ。いいもんね。こっちには深冬が居るのだよ。さぁ、深冬。加賀美君を豪紀兄様とでも呼んであげなよ。喜んで何でもしてくれるから。』
青藍は楽しげに深冬を見る。


「豪紀、兄様?」
深冬は首を傾げながらも豪紀をそう呼んだ。
「!!!」
豪紀はそれに目を見開く。
『あはは!君のそんな顔が見られるなんて、今日はいい日だなぁ。』
青藍は朗らかに笑う。


「お前・・・。」
そんな青藍に豪紀は地を這うような声を出す。
『ん?何?』
「さっさと出ていけ!!!」


『きゃー。加賀美君が怒った!・・・そんなにカリカリしていると、皆に怖がられてしまうよ?もう少し僕の様に優しくにっこりと微笑んだ方がいいと思う。』
「余計なお世話だ。大体、お前の微笑みに優しさがある訳ないだろう!・・・お前、本気で殴っていいか?本気で腹が立ってきた。これまでの余計なことも色々と思い出してきたんだが。」
豪紀は言いながら拳を固く握る。


『それは駄目でしょ。痛いもの。助けてよ、深冬。君のお兄さんが僕に乱暴しようとしている。』
言いながら青藍は深冬を盾にする。
「今のはどう考えても青藍が悪い。」
『えー。深冬まで敵?』

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