色彩
■ 21.毎年恒例

青藍と深冬の想いが通じ合ってから三日後。
護廷隊は入隊式を執り行っていた。
六番隊も例に漏れず、粛々とその儀を進めていた。
・・・彼女らが来るまでは。


「白哉!!」
そんな声とともに、会場の扉が開かれる。
そこには、咲夜、茶羅、深冬、雪乃、ルキアが居た。
ルキア、深冬、雪乃は咲夜と茶羅に引きずられてきたらしい。
その後ろには、既に疲れた様子の睦月と師走の姿もある。


そんな彼らに青藍と橙晴は苦笑し、白哉はため息を吐く。
ちなみに恋次は既に遠い目をしていた。
席官たちは関わらない方がいいと、彼らから目線を逸らす。


「毎回来るのは構わぬ。私もいい加減慣れよう。だが、今年は数が多いだろう。ルキアまで連れて来るとは・・・。」
白哉は呆れたように言った。
「ふふふ。それは面白いからだ。なぁ、茶羅?」
「そうですわ。父上や兄様方のそんな顔を見ることが出来て、茶羅はとっても面白うございます。」


「・・・申し訳ありません、ご当主。俺たちでは止めることが出来ませんでした。」
「あぁ・・・。俺は後で卯ノ花さんに怒られるんだろうな・・・。」
師走と睦月は遠い目をしながら、そんなことを言う。
「私もお止めしたのですが・・・。浮竹隊長はもう諦めておられるようで、行って来いと送り出されてしまいました。」
ルキアは苦笑する。


『あはは。母上、無理に連れてきては駄目ですよ。ルキア姉さまは十三番隊の副隊長です。ルキア姉さまを連れ出すと、十三番隊の隊士たちに怒られてしまうのですから。』
「そうですよ。雪乃だって烈先生に叱られてしまうではありませんか。」
そんなことを言って、二人は困ったように微笑む。


「誰のために皆を連れてきたと思っているのだ。特に青藍。後で詳しく事情を聴かせてもらうぞ。」
言いながら咲夜は深冬に視線を送る。
「そうですわ。兄様ったら、そんな面白いことを私に黙っているなんて、酷いです。」
「なんとなく想像がつくけど、どうせなら貴方の口から聞きたいわ。」
「へぇ。それは面白そうだ。もちろん、僕も詳しく聞きたいですね。」


『あはは・・・。それは勘弁して頂きたい・・・。深冬もこの人たちに話したら駄目じゃないか・・・。』
「私は何も話していないぞ。ただ、咲夜様が、鋭いのだ・・・。」
深冬は拗ねたように言う。


「咲夜姉さまはすぐに気付いたのだ。」
「ふふふ。私に隠し事が出来ると思うなよ、青藍。」
『別に隠しているわけでは・・・。父上にはちゃんとお話ししました。ねぇ、父上?』
「そうだな。お蔭でこれから忙しくなる。」


「何!?何だそれは。」
『あはは。父上は仕事が減るのですから、いいじゃありませんか。その分母上で遊ぶ時間が増えますよ。』
「それは楽しみだな。」
「待て。私で遊ぶとは何だ!?何の話だ!?」
楽しげな白哉に、咲夜は何か身の危険を感じたらしい。


『ふふ。それも後で詳しくお話しいたしましょう。母上もルキア姉さまも茶羅も、それに深冬と雪乃も、とりあえず自己紹介といきましょう。』
「な!?私はいいわよ。私はただの四番隊の者です。この場で紹介されるようなものではありません。」


「ふぅん?そういうこと言うんだ、雪乃。」
橙晴は雪乃の言葉に不満げな顔をする。
「何のことかしら。とりあえず、私は隊に戻らせていただきます。では、失礼しました!」
雪乃は橙晴を見て、慌てたように姿を消す。


「あ、逃げられた。でも、逃げられると追いかけたくなりますよね、父上?」
橙晴は楽しげに白哉を見る。
「・・・好きにしろ。」
それを見て白哉は諦めたように言った。
「あはは。では僕は、ちょっと雪乃の捕獲に行ってきます。」
そういうや否や橙晴は姿を消す。


「橙晴ったら、もう隠すのやめたのね。」
『あはは。隠す必要がなくなったという方がいいんじゃない?まぁ、時間の問題でしょ。』


「それもそうですわね。さて、では紹介しましょうか。私は朽木茶羅。それで、先ほどから父上を呼び捨てにしているのが母、朽木咲夜。それから父上の妹である、朽木ルキア。ルキア姉さまは十三番隊の副隊長です。さっき橙晴に追われていったのは朝比奈雪乃。四番隊の席官で今は兄様方と私の友人ですわ。」
『それで、その銀色の子は、加賀美深冬。十三番隊士で、僕の婚約者だよ。』

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